大田区企業のグローバル市場への挑戦

オグラ宝石精機工業 半導体製造装置用部品

新製品開発や新産業分野への参入など企業の成長戦略は様々だが、国内市場の成長鈍化や新興国の台頭など、中小製造業にとっても海外取引の重要性が増している。
海外展開には何が必要なのか。今回、海外ビジネスに取り組んでいる大田区企業2社の事例をご紹介する。

①大田精工株式会社

中国・タイ・マレーシアに独立性の高い工場

大田精工 産業機器用精密部品

大田精工株式会社(大田区中馬込)は昭和33年、金属切削加工を中心に大田区で発足した。
現在は産業機器製造装置やFA・OA機器製造など向けに精密歯車等を製造しており、日本国内の従業員数はいわき工場を含め約60名となっている。
生産した部品は様々な機器に組み込まれ、日本の産業を支えている。

同社は平成6年にマレーシアに海外事務所を設立したのをきっかけに、本格的に海外進出を果たし、現在はマレーシア、タイ、中国の3カ国に生産工場を有している。中国に進出してから13年を経た現在、中国工場の従業員は約90名となり、売上はほとんど日本と変わらない規模にまで成長している。

また、マレーシア工場でつくられた部品は、マレーシア国内向けだけでなく8割がアジアやヨーロッパに輸出されるなど世界に流通している。
同社の海外展開について海外事業担当の青山取締役に伺った。

「国内+海外」両輪で経営を推進

大田精工 青山 成昭取締役
大田精工 精密駆動使用に適切な小型ギヤ

「当社の海外展開はオイルショックやバブル崩壊、大手企業の中国進出など、時代の逆風に対応しながら事業拡大してきました。海外拠点は経営的に独立した工場として稼働し、輸送コストや為替の影響をあまり受けずに現地ニーズに応えています。

中小企業にとって海外進出には困難やリスクも伴います。中国は市場として非常に魅力的ですが、中国進出当初は現地日系企業との技術提携や製造ラインの立ち上げなど、決して簡単な道のりではありませんでした。
中国等のアジア諸国では技術レベルの向上が著しく、価格面も含め競争が激しくなっていますが、当社としては中国製の設備も導入するなどして高品質と適正価格を両立しています。

また、アジア諸国でも研究開発が盛んになっていることから試作需要が旺盛で、「高付加価値+多品種少量生産」を得意とする大田区企業にとってのビジネスチャンスが広がっています。
今後も本社を大田区に置きながら、それぞれの地域の特徴や強みを活かし、日本と海外で多角的に経営を推し進めていきたいと考えています」

②オグラ宝石精機工業株式会社

高度技術と長い歴史で培った知見を武器に海外展開

尹 明珊係長 藤原 正弘部長 大森 保之氏

オグラ宝石精機工業株式会社(大田区大森北)は明治27年(1894年)に創業した120年以上の歴史のある老舗企業だ。
同社はダイヤモンド・サファイアなどを扱う工業用宝石加工技術のパイオニアとして、100余年かけて高度な技術を磨いてきた。製品は工作機械をはじめ半導体製造装置、測定・分析機器など幅広く使われている。
伝統の技と先端技術の融合と絶え間ないチャレンジの結果、大田区本社及び埼玉工場と兵庫事業所を含め従業員は約190名、約700社の顧客基盤を有する企業となっている。

長い歴史の中で海外との取引が始まり、現在では東南アジアをはじめ欧米にも営業活動を行っている。

また、海外見本市への大田区共同出展制度や単独出展に対する当協会の助成金制度を活用し、中国や台湾市場展開にも力を入れ、更なる成長が期待されている。
同社で海外事業に携わっている3名の方に海外展開について伺った。

地域に合わせた営業活動を模索

オグラ宝石精機工業 工作機械用部品

「現在、当社の売上の15%は海外からの受注です。ただ、国内に納めている部品もエンドユーザーは海外、というケースがかなりあり、海外市場にはまだまだ拡販余地があると考えています」と同社の藤原 営業部長は語る。
「まず、海外の売上を3年で25%へ増やすことが目下の目標です。ただ、海外と一口で言っても国や地域によって事情やニーズは異なりますので、工夫が必要です」。

中国・台湾地域を担当している尹係長はこう話す。「当社の製品は高精度・高品質なところが評価され、国内ではハイエンド装置に搭載されています。しかし、多くの中国装置メーカーはハイエンドよりも価額面に重みを置く中間層もしくは廉価版を求める企業をターゲットにするため、それらの企業にとって弊社製品はオーバー品質であり、なかなか採用されにくいです。そのため、今まで日本でやってきたビジネスモデルは中国で通用せず、新たなビジネスモデルを模索しなければなりません。新しいことが多く大変ではありますが、とてもやりがいを感じます」。

欧米を担当している大森氏は「ヨーロッパなどはすでに強固な調達ルートができあがっているケースが多い。また、保守的で新しい企業との取引には時間をかける傾向があります。私は既存顧客との関係強化を最優先とし、時間をかけてプラスアルファの価値提供を図り、顧客の商品開発につなげ、新商品に使用される部品の注文を得られるよう努力しております」と語る。

藤原部長は今後の方針として「販売後のフォローが長期的な取引を行っていくうえで重要です。社内の国際人材やコストの面では限界がありますので、今後は既存のパートナー・代理店との関係強化と新規開拓で海外ビジネスを加速させていきたいと考えています」と締めくくった。

世界経済はいま、コロナウィルスという困難に直面しています。収束後の世界はどう変わるのでしょうか。さまざまな困難を乗り越えてきた日本の中小企業は、今回の危機も乗り越えるに違いありません。
当協会はさまざまな支援メニューを用意しています。お気軽にご相談ください。

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