次世代ものづくり人材育成の現状 ~住工調和のまち大田区の試み~

去る8月21日に、「大田の工匠 技術・技能継承展 2018(以下、「工匠展」)」の関連イベントとして、区内の小学校4年生から6年生の児童を対象(親子ペア)に、技術・技能継承の表彰企業2社の工場見学とものづくり体験(ロボット・プログラミング教室)を実施した。この関連イベントを企画したのは、関係団体の(一社)大田工業連合会(以下、大田工連)が、毎年、夏季に2回実施する親子体験イベント「産業のまち発見隊(以下、「発見隊」)」の応募状況に起因している。

工場見学の様子

「発見隊」は元来、大田区産業振興協会が毎年、夏季に開催していたものづくり体験イベントで、当時(約10年前)は小学生(対象:4年生から6年生 親子ペア)向けを1回、中学生向けを1回、テクノWING大田(工場アパート)の入居企業、城南職業能力開発センター大田校、六郷工科高等学校等の協力を得て実施していた。その後、大田区産業経済部に事業移管となり、大田工連へ委託する形式で実施している。

協会が実施していた約10年前は、小・中学生共に抽選になる程の応募はなかったが、近年は定員(25組50名×2回)を大幅に上回る応募があり、抽選に漏れてしまう児童が多数いるとの事。この状況を補完すべく、本年度、新たに「発見隊」の類似イベントを実施したものである。募集は「工匠展」開催(於:グランデュオ蒲田)期間の約1週間と短期間であったにも関わらず、18組の親子に参加いただき、午前中の工場見学、午後のものづくり体験共に参加者のものづくりに対する興味・関心度が高い様子が見受けられ、アンケート結果も非常に満足度の高いものであった。

ものづくり体験の様子1

これは、10年前と比較すると大田区民のものづくり企業に対する認知度や関心度が高まっている事を表している。平成18年度から3年間、協会では経産省の補助金を活用して、若者(高校生から34歳までの若手求職者)と大田区企業との接点構築を図る事を目的に、地域の学校や関係団体の協力を仰ぎイベント・セミナー・調査等、様々な事業を実施した。その際に感じたことは、区民のものづくり企業に対する認知度や関心度が低いという事である。自宅の近隣にあるものづくり企業が、一体何を作っているのか、どういう企業なのか等、新聞やマスメディアの流す中小製造業の苦境や3Kのイメージばかりが先行していた感があった。

その後、約10年の間、大田区・協会の他、関係団体、学校、そして大田区企業各々が連携しながら、ものづくり企業のイメージアップに尽力された結果、区民のものづくり企業に対する印象が大幅に改善されたことを実感する。特に、「下町ボブスレー」の活動や「おおたオープンファクトリー」の開催は、区民と大田区企業との距離感を無くし接点を深めた大きな要因と思われる。

ものづくり体験の様子2

また、教育面で大田区特有の例を挙げると、大田区立清水窪小学校は、「サイエンスコミュニケーション科」が設置されている。東京工業大学と連携しロボット研究や宇宙開発等、最先端の科学に触れる機会の提供や、ICT(※)活用による授業の充実・発展を図るとともに、自然や科学的な体験を中心とした学習により科学教育推進に取り組む等、一般的な小学校とは一線を画す教育活動が特徴的である。このような取り組みも、在校生がものづくりやロボットに興味・関心を示す一因と考えられる。

現状、後継者問題や技術・技能継承問題を抱える大田区企業にとって、区民のものづくり企業に対する認知度が高まっていることは追い風である。地域を挙げて、住工調和のまち大田区ならではの、未来の技術者が育つ仕組み・環境づくりを考えていくことが求められている。

※情報通信技術

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