車いすバスケットボール用の車いす開発で大田区企業の開発力を発揮 ~障がい者スポーツ用具開発の産業クラスター創出を目指す~

大田区の区内中小企業群と車いすメーカーの株式会社松永製作所(本社:岐阜県養老郡)が共同で、車いすバスケットボール用の車いす「B-MAX made in Ota Tokyo Model」を10台製作した。東京2020オリンピック・パラリンピックに向け、区内ものづくり企業の「開発力」、「製造対応力」、「企業間連携」を醸成し、選手に優れた用具を提供したものである。

アースフレンズ東京Zホームゲームでのお披露目会の様子
アースフレンズ東京Zホームゲームでのお披露目会の様子

この「大田区障がい者スポーツ用具製品開発事業」は、大田区が東京都の補助事業「地域連携型障害者スポーツ用具開発促進事業」の採択を受け、大田区から大田区産業振興協会に事業委託する形式で実施した。協会が事業の進捗管理や次世代産業創造コーディネーターによる技術的部分の調整役を担い、区内ものづくり企業の皆様の力を活かして、オリンピック・パラリンピックに向け、この地域力をプロモーションしていく。今回は、その車いすの詳細について紹介する。

「B-MAX made in Ota Tokyo Model」の特長

B-MAX made in Ota Tokyo Model
B-MAX made in Ota Tokyo Model

松永製作所の車いすは選手からの評価が高く、リオ2016パラリンピックでは日本代表選手12名中8名が同社の車いすを使用した。その大きな特徴は、それぞれ独立した3つの金属フレームをクランプ金具(ジョイント部品)で締結する「アジャスト機能」である。選手の体格、個々のプレイスタイルや障がいの程度などにより、座面の高さや背もたれの角度、車軸の位置など、非常に細かく調整できるものである。そんな車いすの更なる機能性の向上に向け、区内参画企業群が開発に関わったのは、次の2点である。

キャスター及びクランプ金具
キャスター及びクランプ金具

①キャスター
車いすのキャスターは、これまではインラインスケート用の汎用品を購入していた。しかし、選手からは軽量化、初速、伸び、転がり及び振動吸収(低ノイズ)性能などの改良を求められた。そのため本事業では、キャスターの大幅な軽量化達成を目指しシャフトの材料を炭素鋼からアルミに変更、フォークの幅寸法を狭くし肉抜き穴も改良した。
また、ローラーの材料には軽量化に特化した超高分子ポリエチレン製と適度な振動吸収が特徴のウレタン製の2種類を選択、形状も従来より細くするなど試作を重ねた。1台につき4つのキャスターの合計で、最大300g以上の軽量化に繋がった。

②クランプ金具
金属フレームを締結するクランプ金具は、体格やプレイスタイルによって車いすに剛性感を求める選手に対応。しなりを重視する現行のクランプと簡単に付け替えが可能で、車いすの剛性感を実感できるクランプ金具を開発した。
まず、区内参画企業と松永製作所で数多くのクランプの形状を検討。CAE解析ソフトを活用し、クランプ金具でフレームを固定した状態で荷重を加えて変位と重量を見極め、形状を決定した。区内参画企業がNCマシンと金属3Dプリンターによりそれぞれ製作し、短納期に対応した。

「NO EXCUSE」と「アースフレンズ東京Z」との連携

NO EXCUSE森谷選手
NO EXCUSE森谷選手

このキャスターとクランプを新型フレームに装着し、実証実験を行った。この実証実験には、一般社団法人日本車いすバスケットボール連盟を通じて、東京都を拠点とする車いすバスケットボールチーム「NO EXCUSE」が協力。テストに参加した森谷選手は、「車いすの条件を変更し、テストを行うのは素晴らしい取り組み。大田区企業の製作したキャスターは軽くて転がりが良く、クランプも剛性があり操作しやすくなった」と評価した。テスト後のアンケートでは、キャスターは10名中7名、クランプは剛性感を希望する選手5名中4名が現行品より使いやすいと評価してくれた。完成した車いすは、3月31日(土曜日)に大田区総合体育館で開催された地元のプロバスケットボールチーム「アースフレンズ東京Z」のホームゲームにて、お披露目会を実施した。今後は、「B-MAX made in Ota Tokyo Model」を松永製作所の製品ラインナップの1つとして販売する予定である。平成30年度には、さらにシートやバンパーなどの改良に挑戦し、東京2020オリンピック・パラリンピックを目指していく。

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