刃先位置制御付ポータブル切断・開先加工機 「スピニングカッター」

第32回入賞製品・技術

おおた秀逸技能賞

刃先位置制御付ポータブル切断・開先加工機 「スピニングカッター」_写真
刃先位置制御付ポータブル切断・開先加工機 「スピニングカッター」_写真

遠隔操作で加工が出来ることで、 原子力発電所の作業者の被爆低減に大きく貢献

概要

スピニングカッターを開発するに至った経緯

原子力発電所などのプラント設備には、多くの配管が敷設されており、経年劣化した箇所を取替える工事が多く行われています。
弊社はこれまで、機械を配管に取付け、切断・開先加工を行う「カットランド」という加工機を販売しており、顧客から高い評価を受けていました。
東日本大震災後、原子力発電所が全て停止したことによりメンテナンス工事の需要がなくなり、福島原発の廃炉工事機器の開発に舵を切り、放射線量が非常に高い場所での遠隔装置の開発が必須となり、この「スピニングカッター」を開発しました。本機は作業員の被爆低減に貢献し、放射線量が高い他の原子力発電所の工事にも採用されています。

特徴

独創的な歯車機構による差動装置を内蔵することで遠隔加工作業が実現した

従来機器の配管切断・開先加工作業は熟練の職人による手動送りによるものしか存在していませんでした。
弊社の主力商品であった「カットランド」は、刃先位置制御は出来ませんが、半自動により開先加工が出来るものであり、性能的に他社よりも優位でした。しかし、今回開発した「スピニングカッター」は、遠隔で刃先位置を0.1mm単位で管理が出来る画期的なものであり、特許も取得しています。本機は、ギヤボックスの中にデファレンシャル機構を用いた差動装置により、刃先位置を遠隔で管理することを可能としています。

刃先位置制御付ポータブル切断・開先加工機 「スピニングカッター」写真2

用途

危険な作業場所、特に高放射線下での配管工事で活躍

「スピニングカッター」は、危険な作業場所、特に原子力発電所の高放射線下での作業に使用されています。
具体的には、配管に機械を取付け、カメラで機械を管理しながら、遠隔で配管加工作業を行っています。
作業者は、刃先の位置制御、切削送り条件をタッチパネル上で自由に設定することが出来るのです。これから、熟練工がどんどん減少していく傾向にありますので、熟練工の匠の技術を数値化し、忠実に再現することが出来ることで、配管工事の自動化が出来る機械を目指して開発を続けていきたいと思います。

講評

この製品は、配管などのパイプを切断し、あるいは溶接する際の開先加工を高精度に実現する加工機です。
この製品の開発の背景には福島の原子力発電所の廃炉作業があり、高線量下でも配管の加工を安全に行うため、遠隔から刃先位置を精密に制御できる機構を組み入れている点が特徴です。
実際に福島の廃炉処理用として使用されている実績もあり、大田区の企業らしい高い技術・技能が詰まった製品として「おおた秀逸技能賞」を差し上げることに致しました。原発以外のパイプラインのメンテナンス用途にも市場展開されていくことを期待いたします。

企業情報

社名 株式会社カットランドジャパン
住所 〒144-0056 東京都大田区西六郷2-38-6
TEL 03-6424-9684
FAX 03-6424-9685
メール info@cutlandjapan.co.jp
HP https://cutlandjapan.co.jp
業種 金属製品製造業
事業内容
  • ポータブル配管切断・開先加工機「カットランド」の製造及び販売
  • 刃先位置制御付ポータブル配管切断・開先加工機「スピニングカッター」の製造及び販売
  • 省力化機械の設計・製造及び販売
経営支援部イノベーションセクション
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