大田区産業振興協会
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急成長するスタートアップ—その原動力とは
株式会社KAMAMESHI・小林俊代表取締役社長に聞く

 2023年の創業以来、3期連続黒字を達成している株式会社KAMAMESHI(大田区南六郷)。同社の代名詞ともいえる製造業向け設備部品管理&シェアサービス『Kamameshi』の導入事業所数は現在、200を超え、2026年度中に計300事業所での導入を目指している。急成長の背景にあるものとは一体何なのか。「Kamameshiを日本の製造業に不可欠なインフラへと育てていく」と誓う小林俊代表取締役社長に、事業成長の原動力と展望を聞いた。

小林社長

起業のきっかけはコロナ禍。250社にヒアリングで課題探る

 2020年初頭に深刻化した新型コロナ禍――。日本最大手の鉄鋼メーカー・日本製鉄株式会社で働いていた小林氏も例外ではなく、当時の社会の「閉塞感」に、先の見えない不安を感じていた。鉄鋼業と密接な関係を有する製造業が受けた影響も計り知れず、「製造業の未来は大丈夫だろうか」と危機感を募らせていたという。人口減少などに伴う需要の先細りも相まって、「いま自分がアクションを起こさなければ、製造業の未来が危ない」と使命感にも似た感情が沸き上がっていたと小林氏は回顧する。

 そこからの小林氏の行動は早かった。就業時間後や休日を使い、中小企業や大企業、さらには銀行、損害保険会社まで、業種や規模を問わず、全国のさまざまな企業を一軒一軒訪ね、製造業の課題をヒアリングしていった。その数はおよそ2年半で250社に上る。聞き取りを続けていくうちに、「一つの設備の故障が、廃業や事業撤退の引き金になっている」という現実が見えてくる。設備が故障して修理しようにも、部品が生産終了となっていて修理ができず、突如として莫大な資金が必要になったり、新しい設備を購入しようにも納品まで数か月かかり、生産がストップして得意先との信頼関係が損なわれたりと、特に小規模な町工場にとって、その影響は大きい。

製造業版フリマアプリの誕生。平時は社内在庫管理システムに

 この経験を経て小林氏は、企業間で設備部品を売買できる製造業版フリマアプリの仕組みを考案。誰もが無料で使えるシステムとはせず、あえて有料の会員登録制にした。KAMAMESHIが1社1社と利用契約を取り交わすことで、会員コミュニティーの質を担保し、安心して部品を購入できる体制を整えたのだ。

 さらに、部品売買機能に加え、平時は各企業が社内在庫管理システムとして利用できるようにすることで、平時と緊急時の両面から活用できる設備部品管理&シェアサービスを生み出した。

Kamameshi利用イメージ

 導入企業からは、『部品の生産中止で設備復旧の目途が立っていなかったが、部品シェアサービスを使うことで即日確保できた』『写真とQRコードによって部品在庫が可視化され、工場内の部品整理につながった』など、好評の声が多数寄せられている。

 売買プラットフォーム上に出品されていない部品であっても、各社の部品在庫を把握している同社が、『すぐに部品が欲しい企業』と『部品提供可能な企業』をマッチングさせるサービスも展開。週に数件程度の依頼があり、同サービスを利用しても発見に至らないときは『諦める』という「最終ジャッジ」としても使われているという。

 利用者の大手企業からは『これまで捨てていた部品在庫を他企業に有効に利用してもらうことで、サプライチェーンの強靭化につながっている』と反響を呼んでいる。

設備の停止リスクを可視化。〝感覚〟が確かな〝判断材料〟に

 将来的には、設備保全を含めてトータルサポートできる企業へと成長すべく、2026年6月、設備の故障・停止リスクを可視化・予防する設備保全サービスを本格スタートさせた。大田区のある町工場では、工場内の電気品約1200点を調査し、設備の停止リスクを可視化。『生産中止』または『特定不可』に該当するものが全体の四割程度あることが判明した。現場からは「『どこにリスクがあるのか』『何が代替困難なのか』『どの設備が止まる可能性が高いのか』を把握できたことで、目をつぶっていたところを直視させられた。『いつ更新するべきなのか』『どれくらい資金準備が必要なのか』というところまで考えるようになり、〝感覚〟だったものが、今回の調査で〝判断材料〟になった」と好意的な感想が上がったという。

産業集積地が横連携する未来。共創が新たなもの生み出す原動力に

 着実に成長を続けるKAMAMESHI。小林氏は、町工場が相互に連携・融通し合いながら製品をつくる大田区モノづくり企業の文化『仲間まわし』を引き合いに、今後Kamameshiを使って、全国各地に点在する産業集積地ごとに、「設備部品や資材、備品などを〝仲間回し〟しながら資産の効率化を図り、それぞれの強みに集中できる環境や仕組みをつくっていきたい」と展望する。そこから一歩進み、それぞれの産業集積地が「互いに横連携していくことができれば、例えば災害発生時に助け合うこともできる」とみる。

 そうした未来を実現するためには、社名のKAMAMESHIに由来する「同じ釜の飯を食う」ように、「業種、地域といった垣根を超え、Kamameshiを〝つながれる場〟に成長させていきたい。企業間の心の距離を縮められれば、共創が生まれるはずだ。人口減少社会の現在は、これまでのような競争ではなく、〝共創〟が新しいものを生み出す原動力になると信じている。連携を生み出すプラットフォームにする」と決意を新たにする。

企業情報

会社名:株式会社KAMAMESHI
設立:2023年8月
住所:東京都大田区南六郷三丁目10番16号(六郷BASE内)
HP:https://kamameshi.com/

 

 

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