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- > 【新製品・新技術開発事業】技術とデザインの融合で生まれた次世代搬送ロボット
屋内外を自在に移動し、長時間稼働を実現する自律走行型搬送ロボット「Mighty(マイティ)」。月面探査ロボットの技術を応用した本製品は、大田区の企業連携によって誕生しました。開発に携わった企業に、実用化に至るまでのプロセスを伺いました。

開発を主導したのは、超音波モーター技術(振動を利用して駆動する高効率モーター)を強みとする株式会社Piezo Sonicです。同社は、自社製モーターを8基搭載し、省電力で約8時間の連続稼働が可能な搬送ロボットの開発を進めていました。車輪と4脚を組み合わせた構造により、屋内外を問わず安定した走行を実現するなど、技術面では高い完成度を誇っていました。
しかし、製品化を目前にして新たな課題が浮上します。それが「親しみやすさを備えた外装デザイン」です。性能が優れていても、現場で受け入れられなければ製品として成立しません。導入現場で違和感なく使われるためには、機能だけでなく外観や印象も重要な要素となります。
この課題を解決する転機となったのが、大田区産業振興協会(以下、協会)によるマッチングです。同社は「戦略的産業クラスター形成パイロット事業」に参画し、区内企業との連携を模索しました。その中で出会ったのが、インダストリアルデザインを手がける有限会社ファクタスデザインです。
両社は役割を明確に分担し、開発を推進しました。Piezo Sonicがハードウェアおよびソフトウェア設計を担い、ファクタスデザインが外装デザインを担当。さらに協力メーカーも加わり、複数企業による開発体制が構築されました。

開発において特徴的だったのは、スピード感のある試作プロセスです。3Dプリントを活用することで金型製作を不要とし、試作と改良を迅速に繰り返すことが可能になりました。これにより設計変更にも柔軟に対応しながら、製品の完成度を高めていきました。
こうした取り組みを経て「Mighty」は進化を重ね、現在は4号機まで開発が進み、事業化を実現しています。外装の一体構造化などの改良により、機能性とデザイン性の両立が図られました。
本プロジェクトで特筆すべきは、単なる業務委託にとどまらない協働関係です。開発の最終段階まで両社が密に連携し、「共に考え、共に作る」体制が構築されました。この関係性が、製品の完成度をさらに高める要因となっています。

Piezo Sonic株式会社の多田社長は、「この事業がなければMightyは生まれていなかった」と振り返ります。協会の支援は単発ではなく、継続的な関係構築を重視した伴走型である点が特徴です。担当者が変わっても関係が途切れず、長期的な視点で開発を支える仕組みが整っています。
近年、ものづくりは高度化・複雑化が進み、単一企業だけでの開発が難しくなりつつあります。そうした中で、企業同士をつなぎ、それぞれの強みを生かす「マッチング」の重要性が高まっています。
本事例は、技術とデザインという異なる領域の連携により、新たな価値が生まれる可能性を示す一例です。協会は、こうした出会いや連携のきっかけづくりを通じて、ものづくり企業の取り組みを支援しています。
「Mighty」は今後も改良を重ねながら進化を続けていきます。本プロジェクトを通じて生まれた連携が、今後のものづくりの広がりにつながることが期待されます。
株式会社Piezo Sonic
住所:東京都大田区大森南4-6-15 テクノフロント森ケ崎507
電話:03-6379-6020
ウェブサイト:http://www.piezo-sonic.com
有限会社ファクタスデザイン
住所:東京都大田区大森南4-6-15 テクノフロント森ケ崎401
電話:03-6715-1362
ウェブサイト:https://factus.co.jp