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- > 【受発注事業】清掃工程を変えた簡易清掃装置の開発
食品製造の現場では現在、人手不足やコスト増への対応が大きな課題となっています。そうした中で、食パン製造ラインの清掃工程に着目し、自動化による省力化を実現したのが本プロジェクトです。大田区産業振興協会(以下、協会)の受発注事業を活用し、現場課題に根差した装置開発が短期間で形になりました。

開発を主導したのは、食品機械メーカーの三鈴工機株式会社です。同社では、食パン製造ラインの冷却工程において、搬送ベルトに付着するパンくずや油汚れの清掃作業が課題となっていました。従来は人手による対応が中心であり、作業負担の増加や人材確保の難しさが顕在化していました。
こうした背景のもと、大田区内への拠点開設をきっかけに協会の受発注事業を知り、従来の自社開発に加えて、外部企業との共同開発という新たな選択肢に踏み出しました。
協会のマッチングによりパートナーとなったのが、装置開発を得意とする株式会社三信精機です。現場改善に強みを持つ同社との連携により、プロジェクトは大きく前進しました。
特筆すべきは、その開発スピードです。両社は地理的な近さを生かし、対面での打合せと試作を高頻度で重ねました。仕様のすり合わせから設計変更、改善対応までを短いサイクルで繰り返すことで、開発の精度とスピードを同時に高めていきました。

完成したのは、搬送ベルトに付着したパンくずや油汚れを自動で除去する清掃装置です。本装置の最大の特長は、複雑な機構に頼らない「シンプル設計」にあります。
構造を必要以上に複雑化しないことで、導入コストの抑制とメンテナンス性の向上、さらに現場への適応のしやすさを両立しました。既存ラインへの組み込みも容易で、“現場で使い続けられる装置”としての実用性を実現しています。約7〜8か月で初号機を完成させ、現場テストでも高い評価を得ました。
また、装置の導入をきっかけに、清掃工程の標準化や作業負担の平準化にもつながり、現場全体のオペレーション改善にも寄与しています。
本プロジェクトの特徴は、単なる外注関係ではなく、両社が一体となって進める“共創”の姿勢にあります。役割を分担しながらも、仕様検討から試作・改善までを継続的に行い、実用性の高い装置づくりを追求しました。
三鈴工機株式会社の普光江氏は、「仕様確認から試作、改善までをスピーディーに進めることができました。共に作り上げる姿勢が心強く、実用性の高い装置を実現できました」と振り返ります。
本事例は、企業同士の距離の近さと、それぞれの強みを掛け合わせることで、現場課題の解決をスピーディーに実現した好例といえます。協会は今後もこうしたマッチングと伴走支援を通じて、ものづくり企業の新たな価値創出を後押ししていきます。さらに本装置は展示会出展を通じて他企業からの関心も集めており、今後は他ラインや別用途への横展開も期待されています。
三鈴工機株式会社
住所:東京都大田区羽田旭町10-11 MFIP羽田2階
電話:03-6423-7150
HP:https://www.misuzukoki.jp/
株式会社三信精機
住所:東京都大田区矢口3-15-18
電話:03-3758-5311
HP:https://www.sanshinseiki.co.jp/company/profile.php