大田区産業振興協会
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「3Dプリンター」は機械だけじゃない。
大田区の“匠の技”とAMがつながる
――おおたAMプロジェクト始動!

今年度、「ものづくりのまち」東京都大田区から、新しいものづくりに挑戦するプロジェクトが始動しました。その名は「おおたAMプロジェクト」。

3Dプリンター(AM=付加製造)を切り口に、区内のものづくり企業が手をつなぎ、新しい製造のカタチをつくる――。

日本のものづくりは、長年にわたり、現場で培われてきた「匠の技」によって支えられてきました。大田区にも、切削、研削、研磨、溶接など、長い年月をかけて磨き上げられてきた高度な加工技術が集積しています。

一方、近年、製造業の新たな可能性を切り拓く技術として注目を集めているのが、AM(Additive Manufacturing=付加製造)です。

「おおたAMプロジェクト」は、これまで日本のものづくりを支えてきた“匠の技”と、これからさらなる成長が期待されるAMという新たな加工技術を融合させることで、これまでにないものづくりの可能性を追求していきます。

設計から量産までの「一気通貫」で手がける、大田区発の新たな挑戦が、いま始まります。

(1)目的――「AM」と「大田区の技」を掛け合わせる

一口に3Dプリンターといっても、「原料はどうやって作るの?」「造形した後、どう仕上げる?」「設計は誰が担う?」「最終製品として求められる精度や品質をどう実現する?」といった課題が必ず付きまといます。

AMは、従来の加工法では難しかった複雑な形状の造形や、設計・製造の自由度を高める可能性を持つ一方、造形だけで製品が完成するわけではありません。設計、造形、熱処理、切削、研磨など、さまざまな技術を組み合わせることで、初めて「使える製品」へとつながります。

そこで着目したのが、大田区が長年培ってきた「匠の技」です。

切削、研削、研磨、溶接、表面処理など、大田区には、それぞれの工程で高い技術力を持つものづくり企業が数多く集積しています。こうした技術は、これまで日本のものづくりの発展を支えてきた、まさに大田区の財産です。

おおたAMプロジェクトでは、こうした従来からの高度な加工技術とAMを掛け合わせ、「設計・造形・後加工」までを一つの流れでつなぐことで、「設計から量産までを見据えた一気通貫のものづくり体制」の構築をめざします。

つまり、AMによって「つくり方」を変えるだけではありません。

これまで培われてきた匠の技にAMという新たな技術を掛け合わせることで、互いの強みを引き出し、新しいものづくりの可能性を生み出していく。

それが、このプロジェクトの大きな挑戦です。

目指すのは、大田区発の「AM社会実装モデル」。

AMを単なる「3Dプリンターによる造形技術」として捉えるのではなく、大田区に集積する高度な加工技術と融合させることで、AMを「実際の製品・事業につなげられる技術」へと進化させていきます。

そして、AMを一部の企業だけのものにせず、区内のさまざまなものづくり企業が新たな可能性に挑戦できる環境づくりも進めていきます。

(2)発足の経緯――区内10社の勉強会が生んだ「気づき」

プロジェクトの出発点は、令和7年度に実施した「おおたAM勉強会」です。

区内製造業約10社が参加し、大阪大学の中野貴由氏(AM研究開発センター・センター長(現:3DPTec統合センター・センター長))の監修のもと、全3回にわたり学習と意見交換を重ねました。

そこで見えてきたのが、「AMは単独で完結する技術ではない」という気づきでした。

「AMを社会で本当に使えるようにするには、設計の段階から後加工まで、すべてをつなげて考える必要がある――。」

そして、その「つなぐ」役割を担ううえで、大田区が長年培ってきた加工技術には大きな可能性があります。

AMという新しい技術だけではなく、これまで日本のものづくりを支えてきた匠の技と組み合わせることで、これまでにはなかった製造方法や製品が生まれるかもしれない。

そんな可能性への期待が、参加企業の間で少しずつ共有されていきました。

この学びを“座学”で終わらせず、実践の場へと発展させたい。

そして、**「大田区だからこそできるAM」をつくりたい。**

そんな思いが、このプロジェクトの発足につながりました。

おおたAMプロジェクト第1回目定例会

(3)今後の活動――学びを「カタチ」にする1年

プロジェクトは現在、以下のように活動を展開しています。

日にち内容
2026年3月4日(水)事前発足会(大田区産業プラザPiO)
2026年6月24日(水)第1回定例会
2026年7月17日(金)HuRoC EXPO 2026で成果発表・試作品展示
2026年9月1日(火)~3日(木)日本AM学会講演大会(函館於)に出展・登壇
2026年9月11日(金)大田区加工技術展示商談会に出展
2026年11月5日(木)~6日(金)おおた研究・開発フェアで発表・展示
2027年2月4日(木)~5日(金)Meet New Solution OTA 2027に出展
日本AM学会第2回講演大会での発表の様子

研究・実証・発表を重ねながら、試作にとどまらない実用化・事業化を見据え、着実に歩みを進めています。

**「匠の技」と「AM」。**

一見すると異なる二つの技術ですが、組み合わせることで、これまで実現できなかった形状や材質、製造方法が生まれる、製品の高付加価値化が実現できます。

大田区がこれまで培ってきたものづくりの力を次の世代へつなぎ、AMという新たな技術によって、さらにその可能性を広げていく。

「おおたAMプロジェクト」は、そんな新しいものづくりの未来を、大田区から切り拓いていきます。

次はいよいよ、その成果を皆さまの前に!

勉強会で議論を重ねてきた技術が、展示会の場でどんな「カタチ」になってお披露目されるのか――どうぞご期待ください。

(一社)日本Additive Manufacturing学会(日本AM学会) 代表理事・会長
大阪大学大学院工学研究科 教授
大阪大学大学院工学研究科附属3DPTec統合センター 教授・センター長
中野 貴由 氏 コメント

「おおたAMプロジェクト」の発足前から研究会に参加させていただきましたが、毎回、参加企業の皆様から非常に熱心で活発な議論が交わされていたことが印象に残っています。

大学ではAM技術の研究開発に取り組んでいますが、社会で実際に使われてこそ、その価値が生まれると考えています。現在のAMは、造形技術だけで製品を完成させることは難しく、設計や造形後の加工など、さまざまな技術との融合が不可欠です。

先日、展示会でAM技術と大田区の町工場の技術を融合して生み出された製品を拝見しましたが、その完成度はもちろん、製品化までのスピードにも改めて感心しました。AMという新しい技術と、大田区が培ってきたさまざまな匠の技が組み合わさることで、これまでにないものづくりが生まれるものと強く確信しています。

経済産業省でも、2025年10月より金属積層造形の普及拡大・活用促進に向けた検討会が実施され、提言もまとめられ、現在、日本のものづくりにAMが投入される好機です。

「おおたAMプロジェクト」が、大田区から日本の最先端ものづくりの新たな可能性を示し、オールジャパンでのAMの社会実装を先導するモデルへと発展していくことを期待しています。

 

 

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