「テクノフロンティア2023」出展企業レポート② 株式会社OUTSENSE

(公財)大田区産業振興協会(以下「協会」という)は、7月26日~28日に東京ビッグサイトにて開催された(一社)日本能率協会主催「テクノフロンティア2023」に区内企業12社と共同出展しました。本展示会は、メカトロニクス、エレクトロニクスや関連する専門領域の最新技術と製品が展示される、アジア最大級の専門展示会です。
今回、協会の共同出展に初めて参加いただいた企業にインタビューを行いました。

共同出展参加企業

企業名 展示内容
1 株式会社東京発条製作所 角線バネ・スパイラルスクリュー・丸線バネ
2 株式会社信栄テクノ 切削による超微細加工品
3 株式会社エヌアンドエヌ 設計品、協力会社製品のパネル展示。加工品の展示など
4 株式会社友玉園セラミックス アルミナ材料の加工品や金属との接合品(ろう付品)とコバール加工品など
5 株式会社マゲトップ 金属のパイプ、棒、板、線材の曲げ加工品、捻り加工品、複雑多次元加工品、バネ・特殊バネ加工品
6 株式会社OUTSENSE 日本の伝統文化を最新の工学技術へ応用。「折り紙工学」を用いた製品開発サービスや設計サービス
7 株式会社GTMWEIDMANN 樹脂加工(GFRP絶縁材料)
8 大森クローム工業株式会社 工業用クロムめっき
9 株式会社弘和電材社 各種機器用ワイヤーハーネス・ケーブル加工
10 株式会社エポゾール ディップ成形(チーズフォンデュみたいな成形) キャップ&コーティング
11 株式会社西居製作所 アルミに蒸着された鏡面材材料の精密プレス加工
12 澄川精密株式会社 金属切削加工

株式会社OUTSENSE

2018年に新宿区で創業。「宇宙での居住施設の実現」をビジョンとして掲げている。
コア技術である折り工学を応用し折り構造物の製品開発、受託設計を手掛けている。日用品や家具、建材、自動車部品など取り扱うジャンルは多岐に渡る。ものづくりの知識やノウハウ、折りの加工技術や製造技術を学ぶため2019年に大田区に移転してきた。

取締役 / COO(Chief Operating Officer)堀井 柊我 氏

大学では建築学を専攻。修士1年目の時、創業メンバーの一人としてOUTSENSEを起業。 現在は事業計画から営業戦略、ウェブ管理などマルチにこなしている。

 

インタビュー

──貴社の技術について教えてください。

当社は折り工学の技術を用いて製品開発や研究開発を行っています。折りの特性は様々なものがありますが、わかりやすいところで言えば「折り畳める」ことです。折り畳むことで輸送性や収納性が向上します。

例えば人工衛星に搭載された太陽光パネルに「ミウラ折り」という技法が採用されています。限られたスペースにできるだけコンパクトに収納し、それを容易に展開できるというのが折り工学のメリットです。私たちはこうした技術を応用して宇宙空間での居住施設を造ることを目指しています。

また、折りの構造パターンを用いて構造強度を高めることもできます。他社が開発した製品の事例ですが、キリンの「氷結」の缶のパッケージなんかにも折り加工が採用されています。

――言われてみればデコボコしてますね。あの形状は装飾のためだけではないんですね。

あの形状は内圧に強い折り方で作られており、炭酸飲料であっても薄肉で高い強度が保つことができるので材料コストの削減に繋がっています。

設計に関して言えば、当社は折の角度や辺の長さなどを計算し、平面から立体形状を設計するノウハウを持っています。複雑な形状を平面から型レスで加工できるので、加工費の削減など製造における課題解決が提案できます。

この他にも耐衝撃性や音の指向性の制御、光の集光・拡散など折り加工を施すことで、様々な機能を持たせることができます。

――折りの技術は奥が深いですね。それだけでまだまだ色々な話が聞けそうですが、続いて展示会について聞かせてください。今回の展示会に出展した理由を教えていただけますか?

当社は、まだまだ知名度が低いのが課題だと考えています。年間に約10回の展示会に出展し新規顧客の拡大を図っています。今回は大田区産業振興協会の大田区ブースで注目度が高くなるのではという期待感もあり出展することに決めました。

――年間10回とは結構な回数ですね。どういったジャンルの展示会に出展しているんですか?

自社のサービスに合わせて大きく分けて3つのテーマに絞って選んでいます。一つ目はODM(製品開発)系です。例えば、折り畳みヘルメットや家具など新しいプロダクトの開発に繋がるものです。

二つ目はR&D(研究開発)系です。先ほどの薄肉化や軽量化といった折りの機能特性を活かした設計提案や、応用研究のニーズがある顧客開拓を目的としています。今回のテクノフロンティアはこのテーマに合うと思い、出展しました。

三つ目は装飾品関連です。展示会用の什器や店舗装飾などの新規案件を目的としているのですが、実はこちらの引き合いが一番多いです。
これら3つのサービスに合わせて展示会の選定、企画をしています。

――分野が幅広いですね。テーマによって展示するものを変えているんですか?

そうですね。今回は研究開発がテーマなので、加工技術をアピールするようにしました。様々な素材に対して折り加工ができるということ、その加工によって先ほど挙げたような機能特性を持たせられることを知ってもらい、研究開発や受託設計の引き合い獲得を狙いました。

他のテーマでは、わかりやすい製品展示をして、一緒に製品開発をしましょう、装飾品を作りましょうといったメッセージを発信しています。

――展示の仕方にも工夫されているんですね。大田区には加工技術を強みとする企業が多いので、製品として見せにくいケースもありますが、その辺りはいかがでしょうか?

当社は共同研究・設計受託などの契約をする際にホームページへの掲載や実績を掲載できる契約形態を取っています。基本的にNDA(秘密保持契約)は結びますが、その中に製品化した際には実績として掲載させてくださいという一文を加えてもらうようにしています。

なので、過去に開発した製品の中から展示会に合ったものを展示するようにしています。

また、協会の助成金を利用して開発した、難易度の高い特殊加工の自社製品も、営業コンテンツとして展示しています。

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助成金を活用して製作したサンプル

――他社が展示品やサンプルなどを用意する際の参考になりそうですね。出展してみた感想はどうですか?

想定した通り、来場者層は設計や研究開発に携わる方が多かったです。また、共同出展した皆さんは特徴的な技術を持つ企業が多かったので、他の大田区企業の加工技術を見に来た後に当社に立ち寄ってもらって、設計についての相談をいただくという相乗効果もありました。想像以上にお客さんは来てくれたと思います。

――実際の成果としてはどうでしょうか?

展示会では名刺交換数と商談件数をKPI(評価指標)にしています。早速、色々と問い合わせをいただいていて、そのうち数件は実際に会っての商談が進んでいます。

また、当社の中では「ニーズが引けた」と表現していますが、名刺交換をした中でお客さんの要望を正確に把握し、なおかつ私たちで提案できる見込みがあるものが20件程度あります。当初は2,3件程度くらいを見込んでいたので期待以上の成果です。名刺交換だけで言えば3桁近くできました。

協会の職員さんによる呼び込みで多くの人を集めてくれましたし、出展者のプレゼン企画も良いPRになっていました。

――新規顧客へのフォローはどのように行っていますか?

最近はウェブマーケティングを強化しています。有望な営業先に対してメールで情報をお知らせすることで接点の維持を図っています。また、SEO対策として半年くらい前からブログ記事を書くことに取り組んでいて成果が出てきています。月に3,4件はホームページから引き合いがあります。

――最後に、今後の展望についてお聞かせください。

やはり大手製造メーカーの製品開発や研究開発している方々との協業を増やしていきたいです。また、量産メーカーなどには型レスでの試作開発などを提案していけると考えています。

加えて大田区の加工技術を持つ企業とサプライチェーンとのつながりも増やしていきたい。当社は大田区の「仲間まわし」の中では新米の会社です。加工技術を持つ老舗の企業とつながることでサプライチェーンを強化していけると思っています。

――ありがとうございました。

企業情報

株式会社OUTSENSE
住所: 〒143-0013 東京都大田区大森南4丁目6−15 406
ウェブサイト:https://outsense.jp

 

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