開店以来、何年も店舗が続き、いつもお客様で賑わい繁盛している店舗と、残念なことに開店後3~4年位で閉店してしまう店舗では、どのような違いがあるのか。
店舗が繁盛する理由には、美味しさ、メニュー、立地、店舗の雰囲気、清潔さ、事業主や店員の接客などの様々な要素があります。
ここでは繁盛する店舗とそうでない店舗の違いについて、原因を2つの要素に絞り、簡単に述べたいと思います。
世間にはいつ訪れてもお客様の利用が絶えない評判の良い店があると思います。今回は、そうした「評判の良い店」に共通してみられる決定的な要因は何かを述べたいと思います。
店の評判を決定づける要因として、店舗の清潔さ、利便性、メニューが洗練されている、客層が良い、適切な価格設定等、様々な要素があると思います。しかし、最も重要な要素を突き詰めると、私は次の2つに行き着くと考えています。
ひとつは味、つまり提供される料理が美味しいこと。もうひとつは事業主や店主の社交性、つまり顧客とのコミュニケーションが上手く、顧客と程よい人間関係を構築することが出来ることです。
以下、その2つの要因について説明します。
決定要因のその1 提供される料理が美味しいこと
飲食店であれば、提供される料理が美味しいことは、店舗が繁盛する最も基本的で、かつ最初の一歩であることに疑いの余地がありません。
事業主や店主は美味しい料理を提供すべく、材料や調味料、はたまた火加減や調理道具までこだわり、最高の味を求めます。
もちろんコストや手間、時間がかかりますのでその制約の中で最大の効果を目指すことになります。この点については、プロでおられる皆様に、調理の素人の私が多くを語る必要はないでしょう。
決定要因のその2 顧客との適度な意思疎通を図り、程よい人間関係を築くこと
今回の私のコラムにおいて、皆様方にご確認いただきたい点は、顧客との適度な意思疎通を図り、程よい人間関係を築くことの大切さです。店舗と顧客との間に良い関係性を構築することで、顧客の来店頻度を高めることや購買単価や購買金額の向上が期待できます。
マーケテイング用語に「RFM分析」という言葉があります。
RはRecency(最終購買日)、FはFrequency(購買頻度)、MはMonetary(購買金額)という、3つの観点から顧客を分析する手法です。最終購買日が最近であれば店舗と疎遠になっておらず、来店頻度が高ければ常連客という位置づけになるし、購買単価や購買金額が高ければ上得意客といったような位置づけになると思います。顧客の中には長年地元に住まれ、事業主や店主と昔からの友人関係である方もいらっしゃれば、別の地域から引っ越して来られる方もいらっしゃるでしょう。
そうした様々な顧客と地域社会としての繋がりを店舗側が提供することにより、RFM分析の各ポイントを高め、店舗の安定的な売上の維持・向上を図ることができます。
そのためには、初見の顧客には「初めまして」といったご挨拶から始め、差し障りのない範囲で、住んでいる大体の場所を伺うことが有効です(これにより商圏把握が具体的に出来ます)。また、出身地やお仕事などについても無理のない形で伺うことで、店舗が1人ひとりの顧客を気にかけていることをさり気なく伝えることがポイントになります。
中にはそうした質問を避けたい顧客もいるでしょうから、コミュニケーションを取る際に顧客の表情や声色等を注意深く見ておくことが必要です。他にも週末の来訪であれば「一週間お疲れ様でした」と声をかけることや、常連客向けに隠しメニュー等を用意し、「メニューにないけど、今日は特選の食材やお酒があるからどうですか?」といったような特別感を提供することも考えられると思います。
私が訪問している店舗においていつもお客様で賑わい、売上が安定している店舗では、事業主や店主がコミュニケーションを通じて、顧客との関係性を上手く構築しているところが本当に多いです。
もちろん味は美味しいことが大前提条件となりますが。

あきない活性化コーディネーター