飲食店経営は、競争が激しく変化の早い業界です。
成功するためには、重要業績評価指標(KPI:KEY PERFORMANCE INDICATOR)を正しく把握し、データに基づいた戦略を立てることが不可欠です。
KPI指標は、企業経営全般で広く利用されており、業績の評価や改善点の特定に役立ちます。
本コラムでは、飲食店経営における主要な指標を分析し、効率的な運営を実現するためのポイントを紹介します。
1軒のカフェを例にあげながら見ていきましょう。
・物件の広さ:52㎡(約15.7坪)
・立地:駅から徒歩10分程度/ビル2F
・席数:18席
・メニュー:コーヒーを中心としたドリンク、スイーツ、ランチメニュー、イートイン・テイクアウトの両方を実施
・営業時間:10時~20時30分(ランチタイム:10時~14時 ※それ以外の時間帯はカフェタイム)
・定休日:月曜日・不定休
・従業員数:正社員1名、アルバイト3名(コアタイムに集中勤務)
・客単価:1000円~1,100円程度
・売上:180万円 / 月
・家賃:17万円
FLコストとFL比率
FLコストとは、F(食材原価)とL(人件費)を足したコストのことを指します。
このコストは、飲食店の運営において非常に重要な要素です。
FLコストの計算式
FLコスト=原材料費(FOOD)+人件費(LABOR)
(例)94万円=原材料費41万円+人件費53万円
FL比率は、FLコストが売上高に対してどの程度の割合を占めているかを示します。
理想的には、FL比率を60%以下に抑えることを目指しましょう。
FLコストの計算式
FL率=FLコスト÷売上高×100
<カフェの例>
94万円÷180万円×100=約52%
FLRコストとFLR比率
FLRコストは、FLコストにR(家賃)を加えたコストです。日々の店舗運営で、コストのバランスを把握するために欠かせない指標です。
FLR比率は、FLRコストが売上高に対してどれだけの割合を占めるかを示し、70%以内を目標とします。さらに、家賃比率は売上高の10%以内に抑えることを目指しましょう。
(例)111万円=原材料費41万円+人件費53万円+人件費53万円+家賃17万円
→ FLR比率 約62%
※売上は180万円 / 月なので、家賃は18万円 / 月以下に抑える
総コストの考え方
店舗運営では、売上に対してどれだけのコストがかかっているかを、総合的に把握することが重要です。
FLRコストに加え、その他の諸経費(光熱費、消耗品、広告宣伝費など)も含めて確認することで、店舗全体の収益構造を把握することができます。
総コストの割合が高くなりすぎると利益を圧迫するため、一般的には売上に対して70%程度以内に収めることを一つの目安とするとよいでしょう。
(例)売上180万×70%=126万円=原材料費41万円+人件費53万円+家賃17万円+光熱費10万円+消耗品3万円+広告宣伝費2万円
理論原価率と実際原価率
理論原価率は、理想的な条件下での原価計算に基づいた指標で、通常は食材の仕入れ価格や人件費などを基に算出されます。この指標は、経営者が設定した目標原価を示し、計画的な経営をサポートします。
実際原価率は、実際に発生したコストに基づく指標です。これは、実際の売上や消費された食材、発生した人件費などを反映しており、経営の現状を正確に把握するために重要です。
両者の比較は、経営の効率性を評価するために不可欠です。理論原価率と実際原価率の差異を分析することで、無駄なコストや改善点を見つけ出し、経営戦略の見直しに役立てることができます。
諸経費の管理
飲食店経営では、FLコストやFLRコストだけでなく、その他の諸経費も考慮する必要があります。これらの経費がかさむと、利益が出にくくなります。したがって、以下の点に注意が必要です。
- 固定費:家賃、光熱費、通信費、リース料、保険料など
- 変動費:消耗品費、広告宣伝費、包材費など
重要業績評価指標の重要性
これらの指標を定期的に把握し、分析することで、以下のような利点があります。
- コスト削減:どの部分に無駄があるかを把握し、効率的な運営が可能になります。
- 利益の最大化:適切な指標を設定し、目標を達成することで、利益を最大化することができます。
- 経営戦略の見直し:数値データに基づいた戦略的な意思決定ができるようになります。
最後に、今日からできるアクションを紹介いたします。
・電気・ガス代の削減のための電力会社やプランの見直し
・照明のLED化
・食材仕入れ先の見直し
・在庫の過剰発注を避けるため、在庫の先入れ先出しの徹底
・通信費(インターネット・携帯電話)契約内容の見直し
上記のような、日々の経費を細かく管理し、無駄を省く努力も重要なポイントです。
飲食店経営において、FLコストやFLRコスト、総コスト、理論原価率、実際原価率、そしてそれに伴う比率を把握することは、経営の健全性を保つために不可欠です。
これらの指標を活用して、効率的な経営を実現し、持続可能な成長を目指しましょう。

あきない活性化コーディネーター