売れ筋メニューを見極めて、おすすめプランや商品開発に生かそう !         ~「ABC分析」のすすめ ! ~

あきない活性化コーディネーター
清水 信行

「どの商品をアピール商品として前面に出すべきか迷う」
「新メニューを開発したいが、どこから手を付ければいいか分からない」

そんな課題を抱える大田区の飲食店経営者の皆様へ。

実は、店舗のデータを少し整理するだけで、売上を牽引する経営の「主役」が驚くほど明確になる方法があります。それが、今回ご紹介する「ABC分析※」です。

※ABC分析…在庫金額や売上高などの指標をもとに、商品の重要度に応じて、 A・B・Cの3グループに分類・管理する分析手法。

  Aランク:売上への貢献が最も高い主力商品
  Bランク:Aランクに次ぐ、準主力商品
  Cランク:売上への貢献が低い商品

どのお店であっても、時間や資金、スタッフの力といった「限られた経営資源」をどこに集中させるかが繁盛の鍵となります。すべてのメニューに同じように力を注ぐ必要はありません。
売れ筋をデータで客観的に見極めることで、次の一手(おすすめプランや新メニュー開発など)の成功率をぐっと高めることができます。

ABC分析がもたらす3つのメリット

1.お店の「限られた力」を最も効果的な場所に注げる

すべての商品に同じだけの労力をかけるのは非効率です。まずは売上の大部分を占める「主力商品(Aランク)」を明確にしましょう。このランクに食材の仕入れを集中させたり、POPやメニュー表での露出を増やしたりと、具体的に力を注ぐべきポイントが見えてきます。

2.失敗しない新商品開発のヒントが見つかる

売上への貢献が低い商品(Cランク)の傾向を掴むと、「なぜお客様に選ばれていないのか」という理由が見えてきます。これにより、お店の強みを活かした外さない新メニューの開発や、思い切った不採算メニューの整理(メニューの入れ替えなど)を迷わず進められます。

3.利益率の向上と、食材廃棄の削減につながる

売れ筋に合わせて仕入れ量をコントロールできるようになるため、食材の売れ残りによる廃棄ロスや、売り切れによる機会損失を減らせます。これは、店舗全体の利益率を確実に改善させる重要なステップになります。

ABC分析の実践 ! 5つのステップ

ステップ1: 売上データを準備する
POSレジのデータや売上帳から、直近(1ヶ月~半年推奨)の「メニュー別の売上金額」を書き出します。

ステップ2: 金額の大きい順に並び替える
メニューを売上金額の高い順に並べ替えます。

ステップ3: 売上全体の「何割か」を計算する
「商品別売上÷売上全体×100」で各商品の構成比を算出します。次に、売上上位の商品から構成比を順に加算し、累積構成比を算出します。

ステップ4: 3つのランク(A・B・C)に分類する
売上貢献度に応じて商品をランク分けします。目安として、累積売上全体の70%までの商品を「Aランク」、70%~90%を「Bランク」、90%~100%を「Cランク」とします。

ステップ5: ランクごとに改善策を考える
Aランクは「看板メニューとしてさらにアピールする」、Bランクは「セットメニューに組み込んでAランクへの格上げを狙う」、Cランクは「リニューアルするか思い切って廃止するかを決める」といった、具体的な作戦を立てます。

おすすめプラン・商品開発への具体的な活用法

1.「おすすめプラン(セットメニュー)」への活用

「主力商品」と「準主力商品」を組み合わせる(A×B)
抜群の人気を誇るAランクの商品に、あと少しで主力になりそうなBランクの商品を組み合わせます。「店主イチオシ御膳」や「こだわりコース」などのセットメニューを作ることで、Aランクの集客力を活かしながらBランクの良さを知ってもらい、客単価アップを狙います。

「主力商品」と「売上への貢献が低い商品」を組み合わせる(A×C)
単体では売れ行きが伸び悩んでいるCランクの商品を、Aランクのセットメニューのちょっとしたおまけや小鉢として提供します。まずはお客様に味わってもらう機会を作ることで、在庫を回転させながら、隠れた魅力をアピールするチャンスを生み出します。

2.「新商品開発」への活用

Aランク(主力商品)の人気の秘密を横展開する
なぜAランクの商品がそれほど支持されているのか(味、手軽さ、お得感など)を分析します。その強みを別の形で活かした姉妹商品を開発しましょう(例:一番人気の特製タレを使った新しいメニューなど)。

Cランクの魅力を再発見し、リニューアルする
Cランクの中にも「味や素材には絶対の自信があるのに、認知されていないだけ」という原石があります。そうした商品は、料理名や盛り付け、メニュー表のキャッチコピーを魅力的に変えて再デビューさせましょう。

効果測定と改善のサイクル

この分析をベースに、セットメニューの導入や新メニューの投入を行ったら、ぜひ定期的に振り返りを行いましょう。特に、以下のポイントに注目するのがおすすめです。

1.メニュー構成の変化
・狙い通り、主力商品に育てたい商品がAランクに入ってきたか
・BランクからAランクへ昇格したメニューはあるか
・Cランクの商品を整理して、メニューを見直すことができたか

2.お店全体の業績変化
・客単価が上がっているか(セットメニューの効果)
・ 店舗全体の売上や、粗利益率が改善したか
・食材廃棄率(ロス)を抑えられているか

まずは対策を始めて2〜3ヶ月でメニューの動きに変化が現れます。半年ほど継続すると、本当に無駄のない強固なメニュー構成に生まれ変わります。

また、商店街のフェアや地域のマルシェといったイベントに出店する時も、ABC分析は役立ちます。限定メニューをどのグループの要素で作るかを決める絶好の機会です。

ぜひ、データを味方につけて、お客様に選ばれ続けるお店づくりを進めていきましょう !


あきない活性化コーディネーター 清水 信行

2015年神奈川県庁を早期退職して、中小企業診断士、行政書士として独立。 元港区立産業振興センター副センター長。資金繰り・融資、補助金・助成金、創業支援、官公需、入札・プロポーザル支援に関する実績多数。東京都、神奈川県を中心に飲食業、小売業、サービス業をはじめとした中小企業の経営全般に関する相談に対し積極的な指導・助言を行っている。