「今日、行きたい!」をつくるイベント術 ―販促イベントの効力と集客のコツ3項―

あきない活性化コーディネーター
宮本 光博
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販促イベントは「今、このお店に行きたい!」と思ってもらうための仕掛けです。普段の営業だけだと「行くきっかけ」が弱くなりがち。でもイベントなら、時間を決めて、体験を用意して、「今日だけ」「ここだけ」という特別感を出せます。
すると、
1.その時間にお客さんが集まりやすくなる(手早くたくさん売れる)。
2.体験やセット販売で客単価が上がる。
3.次回の予約や会員登録につながる。
という良い流れが生まれます。
今回は、誰でもすぐできる3つのコツで「『今日、行きたい!』をつくるイベント術」を解説します。

(1)「誰・いつ・何人」を先に決める(設計)

まずはゴールをハッキリさせます。
・誰に来てほしい? 例:「近所の会社員」「学生」「家族連れ」など。
・いつ来てほしい? 例:「平日の19〜21時」「雨の日だけ」など。
・何人集めたい?  例:「20人」など具体的な数。

さらに、お店が商品・サービスをどのくらい提供できるかも先に確認します。
・例:席数は? 1時間に出せる料理は何皿? 会計は何件さばける?
これを知らないまま宣伝だけ強くすると、当日運営がパンクしてしまい、お客さんに迷惑がかかり、逆効果になってしまうこともあります。
目安の考え方:
「20人に来てほしい」→「お知らせを見た人の1割が来る」と仮定
→200人に情報を届ける必要がある、という計算になります。
最初に「できる量」と「知らせる量」を決めるとムダなく準備できます。

(2)来たくなる理由=「見える・体験・限定」を作る(オファー)

人が行動するための動機になるのは「目で見てわかる / その場で体験できる / 今だけ特別」です。
「見える」:例えば、湯気や火、断面がわかる「おいしそうな1枚の写真」を用意。写真だけで「食べたい!」と思わせます。
「体験」:5分の実演、仕上げのライブ、ひと口試食など。「見たら頼みたくなる瞬間」を作ります。
「限定」:時間限定(19〜20時だけ)、先着◯名、各日◯セットなど、数や時間で特別感をはっきり出します。
※値引き(安くすること)は最後の手段。続けやすいのは、原価が低い小さな特典などをつけることです。
※ポイント:イベントで増える「儲け」の50〜70%以内に特典のコストを抑えると、利益を守りやすくなります。

(3)告知は「自前中心×時間差×店前の見える化」(伝え方)

宣伝は身近なところから順番に広げます。
1.自前(常連客向け):LINE、店内ポスター、レシート。まずは一番来てくれる可能性が高い人にしっかり届ける。
2.近所:商店会のSNS、近隣の掲示板、近隣店舗とポスターの貼り合い。
3.遠方:地図アプリ・Googleビジネスプロフィールなどに投稿して、遠方の人にも知ってもらう。

出すタイミングは「3-2-1-0」で覚えましょう。
・3週間前:先行のお知らせ(常連さんにまず伝える)
・2週間前:近所に掲示・紹介動画①の投稿(イベントの内容)
・1週間前:仕込み動画②(作っている様子)と完成動画③の投稿(でき上がり)
・当日:お昼・開始1時間前・開始10分前にリマインド投稿

当日の店前の工夫も大切です。
・大きく見やすいボードの掲示(価格や時間をはっきり)
・香り、音、湯気などで「購買意欲」を換起
・写真スポットを1箇所作り、店名タグを用意(お客さんが投稿しやすい)
宣伝ごとにコードをつけておくと(例:LINE=L-01、Instagram=I-01、店前=S-01)、翌日に「どこから来てくれたか」を比べられます。

振り返りは、来店人数・購入率・客単価・新規の割合・次回予約数をチェック。
良かった点・直す点を各3つに絞って、次のイベントにすぐ反映します。

まとめ

1. 誰・いつ・何人を先に決める。
2. 見える・体験・限定で「今行きたい理由」を作る。
3. 自前中心×時間差×店前の見える化で、ムダなく伝える。
この3つを、30〜60分の小さなイベントとして毎月繰り返すだけでも、普段の売上が少しずつ底上げされます。まずは来週、写真1枚・実演5分・時間限定のセット、という形でやってみましょう。数字が次の正解を教えてくれます。

最後に、コラムを読んだ後3分以内にやるべきこと

紙でもメモでもいいので、「誰・いつ・何人」を一行で書き出してください。
例)「近隣会社員 / 平日19–21時 / 20人」
これが決まれば、オファー・告知・当日の動線はすべて逆算で組めます。

あきない活性化コーディネーター 宮本 光博

大学卒業後、家業の建設業に就職。建設業とともに企業内起業にてウエルネス事業を展開。2002年に「地域創生」企画プロデュース業として独立。地域の文化・芸術・観光・物産を媒介に、自治体・企業・個人・各種団体の協働型案件を中心に様々な分野の地域活性事業に取り組む。2012年からは「地域創生」に加え、新たに「企業活性」をテーマに事業分野拡大。業界業種を問わずシームレスに事業支援。現場実践主義にて良い成果を創出することを信条としています。