皆さんの現場では「利益」について、組織やチームの1人ひとりが簡単に計算・把握できるようになっていますか?
スピーディーな意思決定や利益が出るか、投資回収できるか、というような重要な判断ができているでしょうか。現場へ出向くとお客様方からは、「数字は苦手でよく分からない」「数字を見ると頭が痛くなる」「計算が苦手で・・・」というお声をよく聞きます。
そのような方に、気楽に読んでいただきたい内容となっています。
なぜ、数字を把握する必要があるのか
数字を把握することは、経営の「羅針盤」を手に入れることと同じです。数字が分かることで、以下のようなメリットがあります。
- 現状把握ができる
売上・利益・コストなどの数字を基に、自社の経営状況を正確に理解できます。どこに課題があるのか、どの部分が強みなのかを明確にすることが可能です。 - 意思決定のスピードが上がる
数字が示す事実に基づいて判断することで、感覚や経験だけに頼ることなく、迅速かつ的確な意思 決定ができます。 - 目標設定がしやすくなる
数字を基にした目標設定は達成可能性が高く、社員全員が同じ方向を向いて努力しやすくなります。
数字を理解することは経営を「見える化」し、日々の行動を具体化する第一歩です。
一般的に、売上高増加に応じて費用が増える「変動費」部分と、売上高の規模に関係なく一定に発生する「固定費」を分ける「固変分解」による管理が用いられます。
※変動費=原材料費・販売手数料・消耗品費など
※固定費=家賃・光熱費・従業員の給与など
ただ、変動費と固定費の区分は、「時期」や「立場」によって曖昧になります。
例えば、人件費は短期的には固定費でも、売上が伸びて新たな人材を雇用する必要性が生じた場合、中期的には「変動費」になります。
また、短期的に収益を上げようと販売促進費を抑えて限界利益を高めても、長期的には売上が下落する可能性もあります。固変分解では「時間軸での変化」を捉えることが難しくなる傾向があります。 経験豊富な経営者であれば理解できても、現場レベルでの浸透は難しく、「売上を増やしてコストを減らす」という大雑把な指示に留まりがちです。
利益を重視する理由
私が営業部門に所属していた当時、会社からは常に「売上を最優先せよ」という指示がありました。しかし、私は「本当に重要なのは売上よりも最終的な利益ではないか?」と疑問に感じていました。そんな中、参加した社内研修が大きな転機となりました。
その研修で、企業経営における利益の本質的な重要性について深く学び、自身の考えを整理するきっかけを得ることができました。やがて、会社の方針も「利益重視」へと変わり、私の考えが現実と一致する形となった経験があります。
売上が大きいことは一見すると成功の証のように思えますが、実際には利益が出ていなければ企業(事業者)の存続は難しくなります。
- 利益は「企業(事業者)の体力」
利益は、企業が成長し続けるための原資です。売上が高くても、コストがかさみ利益が出なければ、次の投資や事業拡大が困難になります。 - 利益は「効率性」の指標
売上だけでなく、いかに効率よくコストを管理し、利益を最大化できるかが重要です。利益率の高い事業は、安定した収益をもたらします。 - 売上だけではリスクが高い
売上を追求するあまり、値引き競争や無理な拡大を行うと、利益が圧迫され、最終的には経営が悪化する可能性があります。売上はあくまで「規模」を示す指標であり、利益こそが「持続可能性」を示す指標なのです。
顧客あたりの利益の計算は、日々の行動指針とするための目安であり、詳細な計算が目的ではありません。反対に、細かく計算しないと利益が出たかどうかわからないような商品・サービスは非常に危険です。
利益を知ることで得られるヒント
利益の情報を活用することで、次のような具体的な行動を取ることができます。
- 収益性の高い商品やサービスに集中
利益率の高い商品やサービスを特定し、それにリソースを集中させることで、効率的に利益を伸ばせます。 - コスト構造の見直し
利益が思うように出ない場合は、固定費や変動費を見直し、無駄を削減することが重要です。例えば、仕入れ先の変更や生産プロセスの改善が有効です。 - 成長のための再投資
得られた利益を、新たな事業や設備投資、人材育成に再投資することで、さらなる成長を目指すことができます。 - リスク管理の強化
利益を基に、どの分野がリスクを抱えているかを分析し、事前に対策を講じることで、経営の安定性を高めることができます。
これらの内容を日々の業務に落とし込むことで、数字を味方にした経営が可能となります。数字を活用して、現場と経営の一体化を目指しましょう!
重要なのは、ざっくりとしたトレンドを日々把握し、日次 → 週次 → 月次と進めていくことです。毎日の売上・利益管理を徹底することで、経営状態のリアルタイム把握が可能になり、迅速な意思決定と業績向上につながります。
本日は最後までお読みいただきありがとうございました。経営者の皆さまの一助となれば幸いです。