制御盤は機械設備の司令塔!独自の制御ノウハウでインフラを陰で支える

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通信や電力、交通などで使われる制御盤をオーダーメイドで提供

広沢電機工業株式会社 本社

こんにちはー! 『おおたシゴト未来図』レポーターのコンドーです。今回尋ねたのは「広沢電機工業株式会社」。京急蒲田駅から歩いて15分ほどで、到着で~す。癒し系の笑顔で出迎えてくれたのは、入社8年目の照田智徳さん。よろしくお願いしまーす!

ロゴマークの前で照田さんとコンドー
照田 智徳(てるた とものり)さん
山形県の工業高校を卒業後、いちど県外に出てみようと広い視野で求人票を探す中で広沢電機工業と出会う。高校では鉄の加工を学んでいたが、電気について学べるのは良い機会だと入社を決意。働きながら大学に通い、電気の基礎から応用まで学ぶ。製作のほか、検査、メンテナンスも経験し、オールマイティな技術者として活躍中。

さっそくですが、広沢電機工業は何をしている会社なんでしょうか?

「1957年の創業以来、さまざまな制御盤の設計や製造、アフターフォローを行っている会社です」

制御盤ですかあ。う~ん、いつかどこかで何気なく耳にしたことのある名前なんだけど。考え込んでいたら、「あ、うちの工場の中で実際に使っているモノがあるので見てください」って、照田さんが見せてくれたのが、コレ!

制御盤を指さすコンドー

たしかにこういう箱、どこかで見たことある気がする。扉を開けると中には、部品がきれいに並んでます。

制御盤って何をするものなんですか?

制御盤というのは、ブレーカーや変圧器をはじめ、さまざまな制御機器を納めた箱のこと。いろいろな電気機器につながっていて、スイッチの役割だとか、機械設備の動作をコントロールする役目を果たしています。

へえ~。要するに機械や設備を動かす司令塔みたいな箱なんですね。どんなところで使われているんですか?

たとえばビルの空調やエレベーター、地下鉄の排煙システム、工場の製造ラインなど。目立たないけれど、電気で何かを動かし自動制御するような場所には必ずあるんですよ。そのなかで弊社は主に、電話局をはじめ通信会社、電力会社、地下鉄などの鉄道関係、公共施設などに納品しています。

まさに社会インフラの分野ですね! 普段は当たり前のように感じてるけど、いろいろなインフラ設備が安定して動いているのは、こういうモノが陰で支えてくれているからなんだなあ。

広沢電機工業の強みは、60年の歴史の中で培ってきた制御技術。特に電話交換機を冷やす空調の特殊な制御方法など、他社にはないノウハウを持っています。そして顧客に対しての迅速な対応も強みだと言います。

実は制御盤の製造に携わるライバル企業は、地方に工場を置いているところが多いのだとか。その中で大田区に本社と工場があるのは大きなメリット。たとえば製造途中のものを顧客が見たいと言った時、すぐに見てもらえます。そうした顧客にとっての便利さと安心を提供できるのは大きな売りなのだと教えてくれました。

制御盤の説明を聞くコンドー

制御盤の組み付け作業、実際に体験してみました!

次は、照田さんが働く工場で実際に作っているところを見学させてもらいましょう。

広沢電機工業の工場内部

まずは、ドローンになった気分で上から見てみましょう。はい、工場の中はこ~んな感じ。すっきりしていて働きやすそう。製作部門と検査部門に分かれていて、緑色のフロアのところが検査部門です。大きな制御盤の箱がロッカーみたいですね。

工場内での作業風景

制御盤って、使う場所や動かすものによって入れる部品が違うので、すべてオーダーメイド。一品ずつ設計部門が図面を作り、それをもとに私たちが部品を組み付けて完成させます。それを製品検査し、動作を確認したうえで納品となります。

フロアのあちこちにテーブルの足みたいな木枠が置いてありますけど、あれが作業台ですか?

そうです。まずはあの木の枠に板を置き、テーブルのようにして部品を並べ、配線していきます。それが終わると、いよいよ制御盤の外枠の箱に入れ、実際の製品の形にしていく、という流れです。

一つの制御盤が出来上がるのにどれくらいかかるものなんですか?

小さいものだと1時間ほどで終わるものもあるし、大きなものだと2週間かかるものもあります。決められた工程の中で、どういうスケジュールで進めていくかは自分次第なので、ペース配分ができ働きやすいですよ。

整理整頓された工具類

工具もたくさんあって、おもしろそ~。キョロキョロしていたら、照田さんに「やってみますか?」って声をかけられちゃいました。
それ、僕への挑戦状ですか? そりゃもう喜んで受けて立ちますよ! ふふふ、僕、けっこう器用なんですから。

自信満々なコンドー

じゃあさっそく工具をお借りして、この黄色い電線をつなげてみます。

照田さんから説明を受けるコンドー
電線を切る作業 1
電線を切る作業 2

まずは電線の外側を切って中の銅線を出して、そこにネジをつけて配線すると。ふむふむ、ガッテン承知。
よし、ここをぎゅっと…、ぎゅっと…、ぎゅーーーーーーっと。うっ、握力足りない~~!! すみません、甘くみてました。

接続作業
ネジ止め

悪戦苦闘の末に、次のステップへ。ネジをつけた線をつなぎます。

できあがり

はーい、配線1本、出来上がり~! えへへ、楽しかった。

制御盤は一品モノ。顧客ニーズや使いやすさを考え組み立てていく

こんどは照田さん本人に、広沢電機工業に就職を決めたきっかけや仕事のことを語ってもらいました。

照田 智徳さんインタビューショット

もともと、ものづくりが好きだった照田さん。会社見学で広沢電機工業の工場の様子を見た瞬間、「あ、いいな!」と感じたそうです。それは、ライン生産のような形ではなく、一つの製品を最初から最後まで一人で担当して作るスタイルだったから。まさに照田さんがやってみたいものづくりのイメージにピッタリだったといいます。

広沢電機工業では、製作部門、検査部門、サービス部門などをローテーションして、幅広い技術と知識を身につけた上で、改めて配属を決定。照田さんも一通り経験し、現在はふたたび製作部門に戻り、活躍しています。

配線作業中の照田さん

他の部署を経験したことは役立っていますか?

役立ってます! 実際に電気を流すとどういう動きをするかを覚えたし、サービス部門でメンテナンスを経験したおかげで、使う顧客のことを考えて作ることができるようになりました。

やりがいを感じるのはどんなときですか?

やっぱり、完成したとき! 箱に入れて盤を立てて、「よし、できた」という瞬間、ものすごい感動が押し寄せてきます。終わったぞ~っていう達成感や開放感もあるかな。

僕もさっきの1本の配線が終わった瞬間、達成感を感じました(笑)。制御盤を作るおもしろさはどんなところですか?

制御盤は一品モノ。毎日やることが違うし、作業が進めば、盤の眺めもどんどん変わっていく。それに、作っているものに個性が出るのでやっていて飽きないし、ものづくりっていう実感があります。

えっ、個性ですか? ちょっと意外な感じ。さきほど見たらすごい本数の配線がありましたけど、じゃあ、もし同じ図面で作っても、人によってあの出来上がりが違うってことですか?

もちろん設計上の完成形は決まっています。でも図面では電線でココとココを結ぶという指定しかない。その経路までは指定されていないんです。だから表に出る太い線はここを通そうとか、こうやって大回りさせようとか、完成した姿をイメージしながらつなげていく。意識しているのは、きれいに作ること。先輩が作ったのを見るのも勉強になります。なるほど、ここを通すときれいに整理されるんだなとか。

配線を取り付ける作業
箱に配電盤を取り付ける作業

作業の様子を見ていると、一つの製品を一人で担当するので、集中して作業をしやすそう。といっても、間仕切りがあるわけではなくオープンなフロアなので、自然と声をかけあったりしているとか。いまは指導担当として後輩を教える立場の照田さん。さりげなく後輩の作業に目を配り、「ここはこうだよ」とフォローしてました。

後輩にアドバイスする照田さん

入社8年目の照田さんですが、毎日が勉強だと言います。大小さまざまな部品の知識が求められるうえ、電気に関する分野は奥が深いとのこと。社員一人ひとりのスキルアップを積極的に推進する広沢電機工業では、社内研修のほか、外部研修についても受講費用を会社が負担してくれるそう。

「つい先週も、高圧電気取扱の研修を受けてきました。仕事に直接関係がなくても、勉強したいという意思を尊重してくれます」

今後の目標は「プログラムの勉強」だとか。実はこれまで敬遠していた部分らしいのですが、自分がワンステップ上がるためにはチャレンジが必要だと感じているそうです。終始穏やかに語ってくれた照田さんでしたが、自分に足りないところを見極め、その部分のスキルを磨いていこうとする姿勢はとても力強く感じました。

屋上で語り合う照田さんとコンドー

広沢電機工業は、社員のモチベーションアップにつなげようと、資格取得に対して報奨金も出しているとか。勉強したい人を全力で応援してくれる会社なんだなあと感じました。 今回の取材では、ほんの少しだけど製作の体験もでき、楽しかった!! 作ったものがインフラを支えているのは誇らしいでしょうし、なによりたくさんの部品と配線がすっきり収まっている制御盤はきれい。照田さんが「ほれぼれする」とうれしそうに語った気持ちがわかる気がしました!

広沢電機工業株式会社

未来図
3年後
スムーズな技術継承をめざしている。そのために、現在25歳~26歳の人たちが次の世代に教えていける実力をつけられるよう、研修をはじめさまざまな勉強する場を提供していく。そうした人材育成に力を入れるのと並行して、制御盤の周辺技術にも力を入れていきたいと考えています。
10年後
IC基板の発達により、制御盤がコントロールしてきた各種装置側に制御機能を持たせるケースが増えています。そうした変化を見逃さずに対応できるようチャレンジしていく。IoT化や無線化に着目し、現在の制御技術を応用した新たなシステムの開発をめざしていきます。
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