試作部品加工を極める! 難削材、複雑形状、短納期を充実の設備と技術力でクリア

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ここ大田区の本社工場に、5軸マシニングセンタが10台!

こんにちはー! 『おおたシゴト未来図』レポーターのシンドーです。日頃の行いが良いせいか、今日も良い天気、取材日和です。さて今回訪ねるのは「新妻精機株式会社」。東急多摩川線「武蔵新田」駅から15分ほど歩いて到着です。

新妻精機株式会社本社

と思ったら、入り口がわからず建物の前をウロウロ。すると、隣の建物の2階あたりから声をかけられました。ん? そこ、お隣では? おや、どうみても別の建物なのに、よく見ると不思議な渡り廊下みたいなものでつながってます。建物が何棟も連結されているようです。その理由は、あとで説明しますね。

無事に到着したところで、常務取締役の新妻知幸さんにご挨拶。とってもダンディな佇まいの方です。工場を見学させていただく前に会社のことを教えていただきましょう。

常務取締役 新妻知幸氏

新妻精機の創業は1965年。長年培った精密切削技術を武器に、開発試作部品や小ロットの加工を請け負っているそうです。

試作部品を専門にするのは、量産とは違う難しさもありそうですね。

そうですね。一点モノも多いうえに、精度が非常に厳しく求められる。加工しづらい複雑な形状や、短納期のものも多いんです。

普通なら断りたくなるものでは?

ええ。でも、その他社でできないもの、手を出しにくいものを断らずに受けていく、そこが弊社の強みなんです。

具体的にどんな分野のものを手がけているんですか?

自動車やカメラ、医療機器、半導体、航空、宇宙関連ですね。

どれも開発競争にしのぎを削る、ものづくりの最先端分野ばかりですね!

「ほかに、東大をはじめ、いくつもの大学の研究室と連携して災害支援ロボットも手がけているんですよ」と新妻常務。災害支援ロボットって、2011年の東日本大震災をきっかけに世界的に注目を集める分野。アメリカで行われた災害用ロボット競技会に、協力企業という形で参加したこともあるんだとか。

サンプルとして見せてくれたのが、ロボットの足の部品。これ、もとは大きな一つの金属の塊から削り出されているんですって。

ロボットの足の部分

こんな複雑な形状を設計図と寸分違わぬ精度で削り上げるのは、マシニングセンタという工作機械。その中でも最新鋭の5軸制御のマシニングセンタを、他社に先駆けていち早く導入してきたそうです。

現在、この本社工場だけでマシニングセンタが30台! そのうち5軸が10台もあります。みなさん、覚えていますか? 私が最初に入り口で迷ったことを。つまり、大きな機械を毎年のように増やしていった結果、工場がどんどん手狭になっていき、そのたびに少しずつ隣の建物を連結していったというわけなんですね。

また山形や長野にも生産拠点があり、マシニングセンタの数はグループ全体でなんと100台! 最も機械の台数が多いのは山形工場だとか。

山形工場(株式会社アサヒニイズマ)

機械台数では負ける本社工場ですが、ここは大田区! 表面処理や熱処理、メッキ加工などを担当してくれる協力メーカーがそばにあってこそのスピード感が、大田区で試作部品を作るメリットだと説明してくれました。

「機械設備の充実という点では他には負けません。だから他ができない難しい形状も任せてもらえるんです」と新妻常務。静かな口調ながら、強い自負が伝わってきました。

CAD/CAMルーム

そしてその高性能の機械を最大限に活かすために力を入れているのが、3D CAD/CAM環境の整備。工場とは別フロアにCAD/CAMのオペレーションルームがあり、お客様からいただいたデータや図面を3次元化。さらには、画面上で加工のシミュレーションまでしちゃうんです。ハイテクって、やっぱりすごい。

CAMの画面

それともうひとつ会社が力を入れているのが、技術力の向上。
たとえば、機械のクセを数値化したり、誰でも同じように削れるようにするためにデータを蓄積するなどして、全体の底上げを図っているとか。また、部署ごとに定期的にミーティングを開いて問題解決を図り、そうした記録をマニュアル化することで技術の継承につなげていきたいと、新妻常務は話してくれました。

難削材への挑戦! 五感を磨き、試行錯誤あるのみ

いよいよ工場を拝見。案内してくれるのは、やさしいお兄さんという雰囲気の大原仁視さん。一緒にガッツポーズでキメてみました。

ボーズを決める大原さんとシンドー
大原 仁視(おおはら ひとし)さん
入社5年目。高等専門学校在学中、部活動で人工衛星を作り金属加工の魅力にハマる。4年生のときに新妻精機でインターンシップを体験。そこで見た加工サンプルが強烈に印象に残り、就職を決める。最初の1カ月間はCAD/CAMを担当。その後、1年ほどの予定で現場に異動。すると工場での仕事がどんどん面白くなり、そのまま製造1課に在籍中。

まわりを見回してみると、端から端までずらりと機械が並んでいます。これが噂のマシニングセンタですね!

工場内には大型のマシニングセンタが並ぶ

うわあ、こちらの5軸マシニングセンタはずいぶん背が高い! 見上げちゃいます。

5軸マシニングセンタの大きさに驚くシンドー

マシニングセンタを使っての仕事。どんなところが難しい点ですか?

車とかロボットの試作部品に携わっていて、鉄より硬いステンレスや耐熱性チタンなどの難削材の場合が多いんです。

字のとおり、削るのが難しい、と。

うまく削れないと刃物が折れちゃったり、モノが吹っ飛んじゃったりすることもあるんですよ。

うまく削るコツってあるんですか?

刃物の選び方や締めるときの力加減、削るスピードを調整して。機械の振動や音、手の感触も頼りです。あとは試行錯誤あるのみ!

マシニングセンタ内を覗き込むシンドー

プログラム自体は、CAMの担当者が作ったものを渡されるとのこと。しかし作業を通して途中でプログラムを調整することも多く、プログラムを入力して、はい、終わりではないのだとか。

力加減などは、先輩から「これくらいだよ」と教わるそうですが、結局そこからどれだけ数をこなし、自分の感覚をつかむか、なんですね。
実は私、最新鋭の機械がずらっと並ぶのを見たとき、ものづくりの主役はすっかり機械なのかなあって思っちゃったんです。でも違うみたい。やっぱり人の技と経験でモノは作られている! なんだかうれしくなりました。

マシニングセンタに付ける刃を見ながら説明を受けるシンドー

製品や材料によって機械を変えながら作るそうですが、刃物は磨いたり削ったりも含め、基本的に各自で管理しているのだとか。
で、大原さん、研ぎ技を磨こうと密かに強い思いを持っているようなんです。先輩たちの職人技に近づけたいと、先輩が研いだ刃物をちょっと借りて見比べたり、こっそり研究しているみたい。そうやって、いろんな技を吸収しようとしているんですね。

先輩たちに追いつけ、追い越せってがんばってる大原さん。職人らしい意気込みが伝わってきました!

先輩がわからないところをアドバイス

1000分の1ミリの追求。その先に初めてのモノを世の中に出す喜び

おっとりした感じに見える大原さん。でもお話しを聞いていると、自分のやりたいことをはっきり見据え、そこはけっして曲げない、芯が強い方なんだとわかってきました。

大原さんインタビューショット

たとえば入社前。在学中のインターンシップ体験から新妻精機への就職を心に決めた大原さんは、先生方に大手企業を勧められてもガンとして意志を変えなかったのだとか。

先生の説得にもかかわらず、中小企業を選んだというのはどうしてですか?

大手だと同じことの繰り返しが多い気がしたんです。新妻精機は300社ほどの顧客を持っているし、毎日違うことができるんじゃないかなと思って。

入社して5年目の今、その選択を振り返ってどう思いますか?

好きなことがやれています。どんどん仕事をこなすことで、複雑な加工もできるようになってきた。ここを選んだおかげで、成長の度合いが早かったかなと実感しています。

マシニングセンタを操作する大原さん

入社して1年目、2年目のころは、きれいにモノを削るということが想像以上に難しかったと大原さんは振り返ります。

なんせ公差という誤差の許容範囲は、モノによっては1000分の1ミリ単位。正確に仕上げることはもちろん、小さな擦り傷もない状態をめざすのです。だから、材料の扱いにも細心の注意を払うと言います。硬い金属の塊を扱う作業だけど、実際はとっても繊細さが求められるんですね!

加工が終わるまで1カ月かかることも。失敗すれば、また塊から削り直し。うーん、大変だ。

図面に追いかけられる夢を見たという先輩もいるそうですね。

僕も、夢に出てきたことは何回かあります。

途中で投げ出したくなったり?

早く終わってくれ~って思うことはありますね。でも、そんなときほど出来上がったときの達成感は大きくて、お客様に渡すまで、しばらく眺めていたことも。

さらに、試作開発を専門とする新妻精機ならではの「世の中に出る前のモノを作っているという喜び」もあるそうです。
「同じ部品が使われているかはわからないけれど、実際に走っている車を見ると、その開発にちょっとでも携われたことがうれしいし。店頭に並んだカメラのレンズ部品を見ると、もしかしたら僕がやったやつかな、なんて思ったりします」と笑顔で話してくれました。

プログラミングを行っている小原さん

今後、挑戦したいものはありますか?

「現在進行形ですが、より使いやすくするため、機械上で計測ができるようにするプログラムを開発中です。測る人によって個人差が出るので、なるべく機械で測れるようにしたいなと思っています」

さらに、「高専の後輩たちが人工衛星の開発をしているので、どんな形になるかわからないけれど、協力できればいいなあと。まだ社長には言ってないですけどね」と大原さん。さすが、しっかり自分がやりたい夢を持っていました。いつか新妻精機がお手伝いして、後輩たちの夢を乗せた人工衛星が宇宙を巡ることになったら素敵ですね!

仲良くなって談笑する小原さんとシンドー

一点モノの試作部品では、手間がかかる一方でスピードと精密さが求められます。あえてその難易度が高い要求に挑む新妻精機は、まさにプロフェッショナル集団。世の中に出る前の製品づくりを支える精密切削加工の仕事から、“ものづくりニッポン”の土台の厚みを実感できた取材でした。
また、今回の取材を通して感じたのは、全員でレベルアップしていこうという姿勢です。データの蓄積やマニュアル化を図り、1人の飛び抜けたスキルではなく、みんなでスキルを共有し、さらに技術の伝承につなげていこうとしているのが印象的でした。

新妻精機株式会社

未来図
3年後
日頃の活動の延長線上として、より一層設備を充実させ、守備範囲を広げていきたい。大型部品の加工にも対応できるよう、山形工場を中心に、機械設備も大型のものにシフトしていきます。そうした環境づくりを行ったうえで、新規顧客をもっと増やしていきたいですね。
10年後
山形工場を中心に、量産の分野にも力を入れていこうと考えています。また、現在はロボット関係の分野で10校ほどの大学と連携していますが、そうした大学との連携をさらに充実させていきたい。ものづくりが好きな若い人たちに、ロボットをはじめ、未来を創る分野に貢献できるという魅力を感じてほしいと思っています。
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