大田区企業の挑戦~新たな可能性を拓く~

集合写真
左から、鍋谷 孝さん、西村 修さん、
草野 隆司さん、水口 健史さん

「大田のお土産100選」表彰事業(以下「100選」)は、大田区と大田区産業振興協会(以下「協会」)の共催事業として平成28年(2016)度からスタートしました。
国内外から広く注目される東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、"食品分野"と"ものづくり分野(雑貨を含む)"の2分野から表彰し、4年間で118点の製品・商品(事業者)を表彰しました。

本日は、各年度において優秀賞を受賞した4社の方にお集まりいただき、この事業によってもたらされた変化や表彰の意義についてお話しいただきました。

「100選」応募に込めた思い

司会 まず応募したきっかけからうかがいます。

株式会社東京商工社 代表取締役 草野 隆司さん
株式会社東京商工社 代表取締役 草野 隆司さん

草野さん 当社は卸売業を営んでいたため、ものづくりは未経験でしたが、ポータブルお茶ミル「Sururu(スルル)」という製品を初の自社製品として製作しました。これはお茶を挽いて粉にする、持ち運び可能なお茶ミルなのですが、お茶が美容や健康に効果的ということで海外から多くの関心が寄せられていました。
そんな時に「100選」に出会い、東京2020オリンピック・パラリンピックに向け、チャレンジ精神で応募しました。

株式会社エース 代表取締役 西村 修さん
株式会社エース 代表取締役 西村 修さん

西村さん 仲間企業の製品が表彰されており、良い表彰事業と感じたため、応募しました。私は大田区の生まれ育ちで、会社も創業45年以上と大田区に根付いた会社です。せっかくなので、何か記録に残すものをと思い、応募しました。

水口さん 「100選」に応募したのは私が入社して間もない頃でした。「エッグタルト」の美味しさを一人でも多くの方に知っていただきたいという、強い思いで応募しました。

鍋谷さん 当社が製作・販売しているのは切子のグラスです。一般には江戸切子と呼ばれ、国の伝統工芸品の一つです。現在の原型となっている丸みのあるデザインが10年ほど前から地元の方を中心にご好評をいただくようになり、「蒲田切子」と正式に命名しました。周囲の皆様から「100選」への応募を勧められ、本年度が最終年度でもあったため、ご愛用・ご推薦が多かった「蒲田切子」で応募しました。

オリジナル製品の完成にたどり着くまで

司会 オリジナルの製品ができるまではそれぞれにご苦労があったと思いますが、いかがでしょうか。

西村さん 叔父に「鉄道模型を作る際に小さなバイス(万力)があると便利なんだよね」と言われたのが最初ですが、作った時は商品化まで考えていませんでした。
丁度その頃に工業会の仲間から「100選」への応募を勧められました。材料は見栄えの良いジュラルミンにし、写真映えも想定し、色は区内のアルマイト屋さんに相談して全12色となりました。当社の職人が何十年も積み重ねてきた技術を惜しみなく注ぎ込んだので、本業でも使用できる1,000分の1ミリ単位の精度です。
これ程の精度なので、バイスとしては少し高い価格設定となりますが、桐の外箱を用意し、品質の高さを目に見える形で表現することにしました。「100選」があったからこそ、外見にまでこだわることができました。

株式会社エッグセレント 店頭責任者 水口 健史さん
株式会社エッグセレント
店頭責任者 水口 健史さん

水口さん 当社ではエッグタルトの焼き型を選ぶことに苦労しました。本来、白金(港区)の工場から各店舗にエッグタルトを届けていますが、羽田空港店だけは焼き立てを味わっていただこうという思いで、店内で焼いています。サイズや値段に見合ったものがなかなか見つからず、協会の受発注相談員にお願いして探していただいたところ、区内の工場をご紹介いただきました。
完成品は素材や厚み等、当社のエッグタルトを焼き上げるのにぴったりで、今でも販売数が増え続けているため、同じ工場に注文しています。焼き型は長く使い込んでいくと馴染んで良い味が出るため、丈夫で長持ちするこの焼き型を今後も愛用していきたいです。

草野さん オリジナル製品を持ちたいと考えていた折に、(公財)東京都中小企業振興公社で「事業化チャレンジ道場」という製品開発講座が開かれることを知り、参加しました。既に電動のお茶ミルが市場にあったので、当社では価格・大きさ・音・使いやすさなど、改良できるところを全部解決しようと試みました。その結果できたのが手動で挽けるポータブルお茶ミル「Sururu」でした。化粧品関係のデザイナーの方にお願いし、見た目もおしゃれな仕上がりになりました。

有限会社フォレスト 代表取締役 鍋谷 孝さん
有限会社フォレスト 代表取締役 鍋谷 孝さん

鍋谷さん 切子というと赤や青のイメージですが、当時のガラス製品は透明が主流であったことや、お客様の声等から透明の切子にたどり着きました。
デザイナーがいなかったので、現場でアイデア出し合って、水の動きをテーマに丸と丸を繋げたオリジナルのデザインを作り、ありとあらゆるアイデアを形にし、全部で200種類ほど試作しました。伝統工芸の認知度やものづくりに対する評価も低い時代だったので、テーブル1台置ける場所さえあればどこでも販売をしていました。今でも年間60日は出張販売をしています。その場で直接お客様から意見をもらえるくらいの関係性を大切にしています。
「蒲田切子」が高い評価をいただくようになったのも、周囲の人のおかげだと思います。大田区在住のデザイナーの方とたまたま知り合い、切子のデザインにご協力をいただき、名刺等のデザインも善意でやっていただきました。周囲の人に支えられて「蒲田切子」があるのだと思います。

今後の展開

司会 広報や販売で工夫していらっしゃることはありますか。

水口さん 広告は出しておらず、主にSNSやテレビで取り上げられることでPRになっています。中でも、テレビで紹介された時の反響が大きいです。最近はユーチューバーからも紹介したいとの問合せがありました。

西村さん 自社製品があるということで、会社のPRがしやすくなり、様々なことに取り組んでいる会社だと認識してもらうことができます。購入者がSNSで発信してくれたおかげで、地方から注文がくることもあります。ユーザーは工業関係者から一般の主婦層まで広がりを見せています。

草野さん ポータブルお茶ミル「Sururuスルル」は自社製品なので取引における制限がなく、強力な営業ツールとして重宝しています。販売については、少しずつ海外にも売り出しています。本命のアメリカはこれからなので情報収集しているところです。
新たなチャレンジとして、地元にお住まいの高齢者の方や障がいをお持ちの方向けに体験型ショールームで住宅改修のサービスも始めました。国内では当社にしかないサービスなので、利用された方には大変喜ばれています。これは地元貢献の意味あいもありますね。

水口さん 大田区のイベント等にも積極的に参加し、PRしています。「100選」に選ばれた地元のお菓子なので、これからもしっかりと地元企業として地域貢献していきたいと思っています。

鍋谷さん 当社はなるべくじっくり紹介していただきたいので、広告費はゼロ、テレビでからの依頼は慎重に対応しています。きちんと当社の仕事を理解した上でご紹介いただくことで、お客様にも当社のことをしっかりとご理解いただけると思います。色々な分野の方と蒲田の歴史を掘り起こす「蒲田モダンの活動」に取り組んでおり、デザインの参考になっています。
今後も勉強しながら、若い人たちと何か新しい試みをしてみたいと思っています。

西村さん 「100選」表彰をきっかけに、社内では「これからは皆でオリジナル製品のアイデアを出し、1年に一つでも形にしていこう」というモチベーションが生まれるようになりました。投資しなくてもできることがあり、皆で大田区の町工場を活性化し、もっと盛り上げていければいいと思います。そういう意味でも、「100選」は意義のあるコンテンツになりました。

司会 本日はありがとうございました。

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