ものづくりのまち大田区における技術・技能継承の取組みについて ~大田区企業が直面する課題と展望~

中小企業庁の各種調査によると、中小製造業においては熟練工の割合が高く、従業員の高齢化が大手企業より進んでいることが技術競争力の低下を招く要因ということが明らかになった。大田区には高度な技術・技能を保有するものづくり企業が多数存在しているが、現在、経営者や熟練工の高齢化が進んでおり、事業を存続させていくための技術・技能継承が喫緊の課題となっている。

このような状況を踏まえ、当協会は「大田の工匠 100人」、「大田の工匠 Next Generation」の後継事業として、平成29年度から「大田の工匠 技術・技能継承」をスタートした。本事業は大田区内の製造業を営む中小企業において、実務指導者(師匠)と若手技術者(弟子)による企業内または、企業間で実施されている技術・技能継承の優れた取組みについて表彰することにより、大田区企業の技術・技能継承に対する関心を喚起し、取り組みの強化へと繋げていくことが狙いである。

本事業では、実地調査員3名と協会事務局が応募企業の作業現場を訪問し、どのように技術・技能継承を行っているか、企業側、実務指導者側、若手技術者側それぞれにヒアリングを行っている。ヒアリングのポイントは、資格取得補助等企業としての支援体制、実務指導者の若手技術者育成に対する意欲や能力、及び若手技術者のものづくりに対する意欲や将来性等々である。結果、過去2年間で受賞された12社(12組)の取組みから以下の共通点が見出された。

(1)企業側の取組みとして

企業側の取組み
  • 社長自ら技術・技能継承の位置づけを明確にし推進すること。
  • 熟練工(実務指導者)によるOJT教育を行い、社員一人一人の多能工化を推進すること。
  • 難しい作業工程を動画に保存し、暗黙知を形式知に変換し見える化すること。
  • 教育訓練計画書(スキルマップ)を定め、若手技術者の技術・技能レベルを見える化すること。

等々、企業側による環境整備と社内への意識啓蒙がなされていた。

(2)実務指導者側の取組みとして

実務指導者側の取組み
  • 社内のイントラネットを活用したデータベースの作成、作業工程の可視化、マニュアル化への工夫をすること。
  • 実務指導者と若手技術者との間でよりよいコミュニケーションが取れるように教えるときの話かけ方や接し方にも工夫すること。

(3)若手技術者側の取組みとして

若手技術者側の取組み
  • 指導者から教わった重要なポイントをメモで記録し、ノートにまとめる等、技術を自身に定着させる努力をすること。
  • 技術・技能の習得のために社内の勉強会に積極的に参加し、わからないことは自発的に問いかけること。

等々、前向きの姿勢が見受けられた。

前述のおとり、中小製造業は技術・技能継承に取組まないと品質の維持が難しくなり、企業の競争力の低下や存続にも影響を及ぼすこととなる。技術・技能継承は決して簡単なことでなく、時間がかかるものである。技術・技能を円滑に継承していくためには、企業側が目先の利益だけではなく、計画的に実践的に展開することが大事である。熟練工が保有している「勘」や「コツ」と言われるノウハウをナレッジとして共有し、見える化や社内制度の整備をすることが重要であり、企業努力が必要とされる。

受賞された12社に関しては、バランス良く、技術・技能継承の課題に取組んできたものと考えられる。本事業の制度設計の段階では、企業内だけではなく企業間で実施されている技術・技能継承のケースも想定したが、残念ながら応募はなかった。今後は、受賞企業の先行事例を他の企業にもPRすることで、大田区企業の継続的な発展に寄与していきたい。

※平成30年度の受賞企業に関しては下記URLをご覧ください。
https://www.pio-ota.jp/docs/technoplaza282.pdf(PDF:4.23MB)

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