大田区における技術・技能継承 ~高度な技術力を継承するために~

大田区において、工場数の減少は顕著であり、近年、熟練工の高齢化や人材不足等により、若手技術者への技術・技能継承の取組みが重要であることが再認識されている。平成26年度の「大田区ものづくり産業等実態調査報告書」によると、「技術・技能の継承に係る影響・問題の影響」が「現在ある」、または「今後出てくる」と答えた大田区企業は全体の6割強となっており、技術・技能継承は今後取り組むべき喫緊の課題となっている。

三益工業株式会社

それを背景に協会は、実務指導者と若手技術者による企業内または、企業間で実施されている技術・技能継承の優れた取り組みについて表彰する事業「大田の工匠 技術・技能継承」を平成29年度よりスタートした。大田区全体の技術・技能継承に対する重要度・関心度を引き上げていくことが目的である。

同事業の初年度受賞企業である三益工業株式会社(大田区大森中)は、社員数50名の企業である。参入が難しいとされる航空機産業の精密機械加工を中心に、真空熱処理からユニットの組立・整備まで幅広い範囲の工程を社内一貫生産にて提供している。特に、チタン・インコネル等の難削材部品の複雑形状の精密加工を得意とし、その高度な加工技術と厳格な品質管理は、大手企業からの信頼が厚い。早くから人材育成プログラムによる技術・技能継承に全社を挙げて取り組んでおり、特に多能工化を目的とした若手社員への技術・技能継承が高く評価され、受賞された。今回は、同社の中西忠輔社長にお話を伺った。

中西社長

「技術・技能の継承に取り組む必要性があると感じたのは、社内で配置転換を行おうとした時に、後任の担当者が技術を習得するまで配置転換を待たざるを得なかったことがきっかけです。同時期に、ISO9001の取得のための準備を行っていたことから、資格取得の支援制度も設けることにしました(中西社長)。」

「技術・技能の継承に取り組むにあたっては、会社として体制を整え人材育成へと繋げる環境づくりが重要です。資格習得の受検手数料は会社負担、報奨金も支給する等体制を整えました。実際、若手技術者が資格取得に取り組む際、実務指導者が自発的に時間外に練習に付き合う事や、一人が資格習得に取り組み始めると連鎖して他の若手技術者も取り組み始めるケースが増えてきました。全社を挙げて技術の継承に取り組む風土となってきたことを今は嬉しく思っています(中西社長)。」

若手技術者と実務指導者

社内において技術・技能の継承が進むことにより、次の展望を中西社長は描いている。「管理者を育てていきたいと考え、社外のセミナーへの参加機会も設けています。社内全体を見渡せるように育って欲しいです。また事務系、営業系の社員の育成についても検定等を活用し、全社として自己啓発の意欲を共有できるようにしたいと思っています。(中西社長)」

取材をとおして、技術・技能を円滑に継承していくためには、熟練工の技術・技能の可視化や技術・技能を継承する若手人材の育成、社内制度の整備等が重要であると感じた。技術・技能継承や多能工化が進んだことにより、不測の事態への対応も可能となり、これが同社の成長に繋がる原動力となっている。

平成30年度の「技術・技能継承」の応募は9月3日からとなっている。これを機に技術・技能を継承するための社内環境づくりに取り組まれてはいかがでしょうか?

詳細は「大田の工匠 技術・技能継承」募集ページをご覧ください。

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