2017年12月07日 公開

大田区企業が区内に新工場建設~立地助成制度活用で新時代の産業集積地形成~

大田区のものづくり中小企業が、本社工場を移転・新設する動きが出てきた。製造業事業所数の減少は続いているが、攻めの設備投資に踏み切っている形だ。大田区の特色である仲間まわしによる製品作りのためには、集積地としての機能の維持と、それぞれの企業の操業環境整備が欠かせない。新工場への移転に踏み切った2社の事例を紹介する。

セキダイ工業株式会社は昨年、池上に保有していた土地に新工場を建設し、下丸子から本社機能を移転した。同時に最新のマシニングセンター(MC)3台を購入し、競争力をアップしている。自動車業界向けに最先端の試作部品を提供する同社は、ステンレス、アルミ、チタン等、材料を選ばない切削加工技術を有している。顧客の要求レベルは高く、同社では優位性を保つために常に技術革新に取り組む。福島県にも工場を持つが、大田区の集積の強みを重視した。最近事業継承したばかりの水野社長は「現在の協力会社だけでなく、新たな企業とも連携して共に技術力を向上させ、大田区のものづくりを牽引していきたい」と話す。
移転に当たり同社は、大田区の「ものづくり工場立地助成制度」(以下、「立地助成」)を活用した。

まるでクリニック?新時代の工場!

大田区の「立地助成」は、工場の新設だけではなく拡張や移転時にも活用可能。対象経費の3分の1、最大1000万円を助成する。区内ものづくり集積の維持のため、立地や操業環境の整備を支援するのが目的だ。

セキダイ工業の新工場用地は北側と東側がマンションで、同社では近隣住民向けに何度も説明会を開いた。近隣への配慮から壁を厚くするだけでなく、「立地助成」の活用により防音材も追加。これにより、建屋内2階にある設計室ですら1階の最新鋭MCの動作音は全く聞こえない。「近隣からの目線を考えて屋上緑化も行うなど、助成制度の活用によりプラスアルファの配慮を施せた」(水野社長)。建築後、苦情は一件もなく、「本当に機械が置いてあるの?」との質問さえ出るほど近隣との関係は良好という。同社はクリニックかと思わせるような美しい新工場と新設備により、技術力と業務効率の向上を実現、協力工場とともに新規顧客の開拓を進めている。

セキダイ工業の新工場 セキダイ工業 水野社長

企業イメージ上昇で人材確保

株式会社酒井製作所も立地助成を活用し、本社工場を平成25年に矢口へ移転した。同社は多品種少量・オーダーメイド生産が特徴の産業装置メーカーで、搬送装置や自動省力化装置、鉄道保線装置など幅広い業界へ製品を納入している。南蒲田の旧本社工場は老朽化が進み耐震性能に不安があったうえ、道が狭いため顧客がクルマで来社するのが難しかった。土地探しから始めた新工場は、国道1号線から直ぐという交通至便で、同時にMC1台を追加導入し競争力も向上した。

また、矢口周辺は戸建て住宅が多く、近隣からの「窓に目線を遮る目隠しをつけて欲しい」との要望に応えるなど配慮した。「立地助成」の活用により、エアコンの設置や門扉・塀など外構工事を充実し、操業環境の向上と、近隣住民にも親しみやすい工場を実現。企業イメージが上昇し、若手社員の採用にも繋がっている。「きれいな工場には人が集まるし、働く人もいい仕事をする」(酒井憲一社長)という。 酒井製作所も栃木県に工場を持つが、「長年のお付き合いで積み重ねた、協力工場の皆様との信頼関係を保ちたいとの思いが強くあった」(同)という。両社とも新社屋は従業員からの評判も良く、六郷工科高校の学生をインターンシップで受け入れるなど地域貢献活動にも熱心。住工混合地域が多い大田区においては、両社のような近隣への配慮のある工場が多く立地することで、新時代の「ものづくり集積地」を形成しつつある。

株式会社酒井製作所 本社工場 株式会社酒井製作所 酒井憲一社長

2017.12.7
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