下町ボブスレー ピョンチャン五輪へ新型10号機製作

ジャマイカチームが高く評価

北米へメカニックを派遣2011年末に始まった下町ボブスレープロジェクトは、翌2012年秋に1号機を製作、年末の全日本ボブスレー選手権で優勝という華々しいスタートを切った。しかし、ソリを使う側の日本の競技団体は実績のある欧米製ソリを採用し、ロシア・ソチ五輪、韓国・ピョンチャン五輪とも不採用となった。このため下町ボブスレープロジェクトでは海外チームへの提供に舵を切り、2016年1月にはジャマイカチームが来日して下町ボブスレーをテスト。30年前のカナダ・カルガリー冬季五輪で初めて南の島からボブスレー競技に挑戦したジャマイカボブスレー連盟は、同じくゼロからソリ作りに挑んだ下町ボブスレーの安定性や部品の加工精度の高さ、選手の要望への即応力を高く評価し、ピョンチャン五輪での採用を決定した。

ボディが異なる2モデルを投入

8号機と9号機下町ボブスレープロジェクトとジャマイカボブスレー連盟は、2016年7月に正式契約を結び、ジャマイカチーム向け新型機の開発・製作に着手した。ジャマイカチームの選手や技術者と情報を交換しながら開発を進め、下町プロジェクト側がシャーシ・ボディを設計した「下町スペシャル」と、シャーシは同一でボディ形状をジャマイカ側技術者が設計した「ジャマイカスペシャル」の2モデル・3台を提供することが決まった。まず2016年10月に歴代の下町ボブスレーのなかで最も空気抵抗の小さい「下町スペシャル」6号機を完成し、北米でテストと実戦参戦を開始。2017年1月には下町プロジェクトのメカニックが渡米し、ボルト類の補強と緩み止め、搭載できるウエイト(重り)の拡大、ボディとシャーシの接続部の改良による振動低減などを行った。また、空気抵抗を抑えるため運転席回りの開口部を小さくしていたが、高速コースで左右に振られるとヘルメットがボディに当たるとの指摘を受け、急きょ、改良型の8号機を製作。開口部を広げるとともに6号機で実施した各種の改良をすべて反映した。

滑走テストの結果を反映

tokusyu1605_2.jpg8号機は2017年3月始めに韓国・ピョンチャンに届け、ジャマイカチームが五輪本番のコースで滑走テストを実施、良好な結果を得た。また、「ジャマイカスペシャル」はジャマイカ側技術者とのデータのやり取りに時間がかかり、シーズン終盤の2017年3月半ばにピョンチャンへ9号機を届けた。ジャマイカスペシャルは下町スペシャルより40cm短い「世界最小クラスのボディ」で助走距離を稼ぎスピードをつける考え方のソリで、実際の滑走テストはできなかったがジャマイカチームから仕上がりを高く評価された。
3月末に競技シーズンが終了、4月末にはジャマイカ選手2名が来日し、五輪本番に向けたソリの改修方針を協議した。この結果、新たにジャマイカスペシャル10号機を秋までに新規製作し、できたばかりの9号機をベースに、6号機の改修で得た振動低減やボディ開口部の拡大といった対策をすべて反映することになった。9号機は女子選手のエースであるジャズミン・フェンレイター選手のメインマシンとなる。またジャマイカチームは男子2人乗りも2チーム参戦する予定で、こちらは下町スペシャル6号機と8号機を利用する予定だ。

五輪出場資格獲得へ世界を転戦

ボブスレー競技の参加チームは、本番直前の2018年1月に決まる見込み。各地の大会での成績に応じて与えられるポイントを蓄積し、上位30チームが参加資格を得る。ジャマイカチームが五輪参加資格を得るためには、数多くのレースに参加しポイントを蓄積する必要があり、2017年11月のシーズン開幕と同時に、北米カップと欧州カップを転戦し、12月から始まるワールドカップにも参戦して五輪出場を確実にする作戦だ。
10号機の製作は6月にはスタートし、9月中旬の完成を目指す。大田区では松原忠義区長の呼びかけで、地域の産業団体等で構成する下町ボブスレーの「応援団」も旗揚げした。2018年2月のピョンチャン五輪本番に向け、大田区を挙げた準備が進んでいる。

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