航空機産業参入への挑戦 難関突破は生産管理体制整備と規格認証取得から

同和鍛造株式会社

同和鍛造株式会社は、航空機産業参入に必要な「免許証」に例えられる規格「JISQ9100」の認証を今年(平成27年)5月に取得した。高合金などさまざまな金属の鍛造技術に定評がある同社だが、下村亮太社長は「JISQ9100で求められるプロセスは、言うなれば厳格にクラシックピアノが弾けること。当社の得意は自由鍛造のアドリブの世界だった」と話す。美しい音楽を奏でるだけではなく、楽譜通りに正確に演奏している証明が必要との意味だ。

航空機産業には、優れた加工技術があるだけでは参入できない。高度な安全性を確保するための厳密な生産管理体制の確立、航空機産業特有の要求事項を定めた国際規格の認証取得、さらに英語での商談に対応できる社員の確保、先行する設備投資負担に耐える財務力――など多くのハードルがある。それでも参入を目指す企業が多いのは、新興国経済の成長に伴って飛行機の需要が拡大しているうえ、参入が難しいだけに一度取引の輪に入ってしまえば長期安定取引が期待できるためだ。

同和鍛造株式会社は、3年ほど前から航空機産業の研究を始めた。「簡単に参入できるとは考えていない。まず、厳しい品質管理を社内に定着させることを狙った」(池田龍治顧問)といいJISQ9100の認証取得に挑戦した。
同規格はISO9001をベースに厳密な生産履歴管理など航空宇宙産業特有の要求事項を追加したもの。専門のコンサルタントと契約して認証取得を目指す企業が多いなか、同和鍛造は自力での取得を目指した。専門家に規格の要求事項だけ解説してもらい、個々の要求にどう対応するかをまとめたマニュアルはすべて社内で作成。さらに認証機関の審査を受けて修正を加えていき、認証取得に成功した。
認証取得費用は、航空機産業や医療機器産業への参入を支援する大田区の各種認証・許可等取得支援事業を活用し100万円の補助金を獲得している。

下町ボブスレープロジェクトは大田区のものづくり力を世界にアピールすることで航空宇宙などの仕事獲得を目指している。参加企業のうち4社が昨年7月、国の補助金を活用して英ファンボロー航空ショーを視察した。参入に向けた情報収集が目的で、実際に航空機関連の仕事をしている欧州中小企業のブースを訪ねて回った。
展示品を見る限り、加工技術では負けない。ほとんどのブースの担当者に将来の競合企業として警戒されるなか、英国の従業員数50人のねじメーカー幹部が対応してくれた。

「あなたがたは、私たちの6年前の姿を見るようだ。航空機産業への参入は簡単ではないが、必要な規格や顧客企業の取引先認定の認証をクリアし、航空ショーに出展するという順番を踏めば仕事は取れる。体制を整えたらまた連絡してほしい。日英中小で協力できるかもしれない」との言葉に、参加企業は大いに励まされた。

「おおた工業フェア」航空宇宙・防衛分野コーナー

区内にはすでに航空宇宙・防衛分野に参入している企業も多い。今年2月の「おおた工業フェア」では、同分野のテーマ展示コーナーを設置し、三益工業株式会社など代表的な区内企業6社が製品・技術を展示。大田区には航空宇宙産業に必要な加工技術がすべて集積していることをアピールした。

航空宇宙分野で通用するとの事実は、区内企業の既存取引先である自動車・電機産業からの受注にも有利に働く。また、ボーイング、エアバスなど欧米メーカー主導の航空機産業のなか、MRJやホンダジェットなど国産飛行機のプロジェクトも台頭してきた。羽田空港を抱えるという地の利もある。参入のハードルは高いが、同分野に挑戦する大田区企業は今後も増えていきそうだ。

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