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アジアとのモノづくり共生・大田区にハブ工場機能を

2010/03/05

大田区産業振興協会・専務理事 山田伸顯

伸びる東アジア貿易

 2009年12月分の貿易統計(速報)によると、輸出額は前年同月比12・1%増の5兆4128億円となり、15カ月ぶりの増加を示した。中でも前年同月比で42・8%伸びた中国向けを筆頭に、アジア向けの輸出は堅調さを取り戻し、米国向けが7・6%減少したのと対照的である。内需はまだ伸び悩んでいるが、外需の伸びによって大手製造業の一部に業績の回復が見られるようになった。
 日本の対外貿易は、21世紀に入ってから東アジアとの貿易が著しく伸びている。08年の対米貿易(輸出入合計)は、99年比1割の伸びにすぎないのに、対中国の伸びは4倍に達している。日本にとって中国はいまや最大の貿易相手国であり、08年で輸出の16%、輸入の19%を占める。東アジア全体に対する貿易総額は、対全世界の42%を占めるまでに至っている。  また東アジア域内貿易は、欧州連合(EU)や北米自由貿易協定(NAFTA)に比べ、中間財(部品)貿易の比率と伸びが大きいことに特徴がある。同時に、通商白書(07)によると、我が国と新興工業国・地域(NIES)で生産された付加価値の高い中間財を、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)で組み立て、最終製品を日米欧に輸出するという「多国間工程分業」が進展中だ。東アジアにおける国際取引が進展することは、部品を生産する中小の製造業が大企業を介さずに直接参入し、さらに拡大するチャンスがあることを意味している。
 ASEANを含めた東アジアは約20億人の人口(世界の30%)を有する大市場である。各国の経済成長は著しく、技術水準も上昇し続けている。日本の製造業にとって競合相手となるが、同時に広く顧客を開拓できる国・地域である。各国はより高品質の製品を欲するようになり、高度技術を有する日本の中小企業に対する誘致活動が活発になっている。

中小のタイ進出促す

 また、中小製造業の立場からも生産拠点としての優位性と市場開拓の可能性を求め、東アジアに進出する企業が増加。進出した企業も日本の国内拠点においては高度技術に特化し、グローバルな分業体制を構築しようとしている。アジアにおける産業のネットワーク形成が進展しているのである。
 大田区では安定した経済成長を続けるタイに着目し、現地の工業団地と提携して「オオタ・テクノ・パーク」というレンタル型集合工場を06年6月に発足させた。生産拠点を設置したいがリスクを軽減しなければ進出できない中小企業を後押しする狙いである。現在入居しているのは6社であるが、各社とも国内の受注が低迷しているのに対し、現地での景況感はかなり回復してきている。タイ国内の景気見通しも明るくなっていることに加え、タイは積極的に世界各国との自由貿易協定(FTA)を締結しており、地理的にも周辺の新興国であるベトナム、インドネシア、さらにインドにも輸出しやすい条件が整っている。
 大田区はここを拠点として、日本とASEANとの取引ネットワークを拡張したいと考えている。海外進出しない大多数の中小企業も、アジアとのつながりのなかで生き抜くよう広域的に連携する必要が生じているからだ。

羽田国際化を契機に

 今、日本とアジアとの交易を促進する絶好の環境が生まれようとしている。大田区に位置する羽田空港の国際化だ。今年10月に国際旅客ターミナルがオープンし、国際定期便の就航が年間約6万回に増加する。さらに国際線と国内線を結ぶ羽田空港ハブ化が国土交通大臣から打ち出された。
 また空港跡地活用について大田区は「羽田空港跡地利用OTA基本プラン」において、産業支援・交流機能として先端技術の研究開発や国内外の技術交流拠点等の導入を掲げている。「グローバル・アライアンスセンター」(国際的な受発注取引と技術交流の場)を構築すれば、大田区を中心としてアジアと日本各地を結ぶ「モノづくりにおける国際・国内連携のハブ機能」を発揮できる。アジアの母工場として最先端技術と開発試作機能を生かすことこそが、日本の中小企業によるモノづくりの存在価値を示す道である。
(日刊工業新聞 2010年2月22日付「卓見異見」に掲載)

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