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中国(瀋陽・青島)出張報告

2009/08/12

中国(瀋陽・青島)出張報告

(財)大田区産業振興協会 企業支援グループ
取引促進チーム 小林 暁生

平成21年6月16日から20日までの5日間、中国・瀋陽及び青島へ出張した。
出張メンバーは、高月(企業支援グループディレクター)、上原(取引促進チームリーダー)、柴田(海外取引相談員)及び筆者である。
今後の中国ビジネス展開事業の推進にあたり今回の出張の目的は、以下3点である。

  1. 新たに中国東北部(特に瀋陽では古くから重工業が盛んで、国策として力を入れているとの事前情報があった)にて連携協力の可能性のある機関を訪問し実状を調査する。
  2. 瀋陽には大規模な国営企業が38社あり、列車・道路・橋等国策として大きなマーケットがある。政府機関を訪問し状況を把握すると共に国営企業を訪問し、大田区企業との部品供給等の連携の可能性を調査する。
  3. 青島では、市政府開発区の視察及び区内進出企業TSS青島工場を訪問し、情報交換及び景況感調査を実施する。

今回は、瀋陽市の工業の中心地域の新鉄西地域内にある2つの開発地域を訪問した。東北旧工業地域として有名な鉄西区及び国家クラスの開発区瀋陽経済技術開発区を訪問した。

1.瀋陽市経済技術開発区事務所訪問
瀋陽市政府機関との顔合わせ及び会談。冒頭李書記より歓迎の挨拶あり、当協会から今後大田区と瀋陽市とビジネス面で良い関係を構築できないか、今回はその第1回目の調査として訪問したと挨拶。大田区の工業の特徴についての説明した後、経済開発区のある「鉄西区」の企業と何かタイアップできるのかを検討したい旨を伝える。(会談の論旨以下のとおり)

瀋陽市経済技術開発区:

○重工業、大型工業が中心で非常に早いスピードで発展している。
○鉄西区の企業は中国国内での販売が多いため、今回の世界的不況の影響度は他の地域に比べて低かった。
○大田区の技術は優れていると思う。大田区企業と連携を密にする事により、鉄西区の技術レベルを高められると考える。やり方は2つある。1つは、日中が合作(合弁会社設立等)でパートナーシップを結ぶ。もう1つは、日本から中国へ部品供給のレベルからスタートする。大田区企業が進出される場合は、中国国内企業と同様レベルの全面的優遇措置を適応する。
○松下、三菱、ブリジストン等多くの日系企業が進出しており、非常に大きく魅力的なマーケットとなっており、瀋陽日本工業パークのHPを是非ご覧いただきたい。

当協会:

大田区の製造業の規模は中小零細が圧倒的多数(従業員10名未満が80%)で進出については、慎重にすべきと考える。大田区企業がどのように考えるかが重要で、瀋陽の情報を伝え段階的に進めていくようにする。ニーズとシーズが合致すれば、部品供給レベルよりスタートし時間をかけて取り組むようにしたい。

2.瀋陽市対外貿易経済合作局訪問 (会談論旨以下のとおり)

○ 瀋陽は昔からの工業都市として発達し、現況の重要産業は工業(製造業)、サービス産業、建築業である。
○ 瀋陽開発区は中国国内に国家クラスの開発区が54ある中で、第8位の開発区となっている。
○ 瀋陽市と大田区の産業の得意分野をいかし、双方のメリットとなるように大田区と瀋陽開発区が連合体を組み投資・ビジネスチャンスを模索していきたい。投資し進出するのが難しい場合、技術的な交流も可能と考えている。高度な技術力を有す大田区企業から質の高い部品を開発区の大企業に販売する方法もある。但しFace to Faceでできない事や物流コスト等デメリットが多く、効率的ではない。
○ 大田区の状況で慎重な事は理解するが、進出も含めビジネスのタイミングを逃してはならない。世界のトップ500社の企業も多数進出してきている中で、スピードと決断も重要である。

当協会:

大田区企業はリスクを取る事については非常に慎重で、進出するには1.情報交換、2.日本からの輸出、3.提携と段階を経て進めるべきと捉えている。最終的なWin Winの状況を作るには、日中間企業の案を今後詰めていくようにする。

会談後、日本工業技術開発区を視察した。日本工業パークは瀋陽空港より車で30分の距離に70万㎡の土地があり先ずその内40万㎡建設中(下部写真)。生産加工中心地域、生活地域、研究開発センター、インキュベーションセンター等も建設予定で2013年に完成予定。1㎡あたり月20元(約300円)でレンタルしている。2年契約で家賃は半年前に前払い。耐荷重は6~8t/㎡で特別な内装が無ければ、水・電気・通信等直ぐに使用できる状態で賃借可能。

(1.広大な敷地に建設中の日本工業パーク)

3.中国企業4社(国営企業3社、民間企業1社)の工場及び鍛造博物館の見学

  1. 瀋陽機床集団(国営企業):工作機器メーカー、瀋陽で最大規模の工作機器工場(74万㎡)、社員数は1万2千人。主要な装置は輸入品で日本メーカーからの輸入機器も多い(ファナック、ヤマザキ等)売上比率は国内90%、海外10%で世界不況の影響はほとんど受けていない。
  2. 北方重工(国営企業):大型設備メーカー(日本でいう三菱重工同種企業)の工場、工場の端から端まで1.5kmある。写真はシールドマシン(鉄道や道路のトンネル、直径6メートル)日本(三菱や石川島播磨重工)やEUメーカと技術提携している。良い部品があれば日本(大田区も含めて)からも購入を検討する。

    (2.北方重工工場内写真)
  3. 遠大集団(民間企業):建築関係の総合メーカー(主にエレベーター、カーテンウォール、電気、風車等で北京オリンピックの鳥の巣や水泳会場も建設した)工場は2007年に完成。2008年売上は15億元(約225億円)で業界世界一となった。

    (3.遠大集団工場内写真、右は北京オリンピックの鳥の巣及び水泳会場の写真)
  4. 瀋陽圧縮機集団(国営企業):コンプレッサー・ポンプメーカー、工場は37万㎡で2004年に完成。社員数は6千人。三菱重工、日立と提携しており、各々の設備がある。汎用機を生産しているため、受注後生産としている。日本の管理システムに強い関心があり、トヨタの看板方式など取り入れている。

鉄西区鍛造博物館:鉄西区は鋳物工場が70年の歴史があり、第二次世界大戦直後最大で5800人の工場員がいた。鉄西区の工業都市としての発展の歴史を知り、未来を切り拓こうという意味で作られた博物館。

(鉄西区鍛造博物館外観写真、右は館内の写真)

4.青島市城陽区対外貿易経済合作局訪問
秦科長より青島城陽区の概要説明。青島は日本に気候がよく似ていて中国国内でもきれいな都市として有名。東京まで毎日直行便があり、約3時間という地の利があり多くの日系企業が進出している。城陽区の対外貿易取引量は12年連続山東省1位。
2008年の輸出入貿易額は80.6億ドルで前年比17.5%増、青島市の15.5%を占める。その内輸出は53.1億ドルで前年比18.4%増、青島市の16.9%を占めている。城陽区は中国北部で対外経済発展の最も活発な地域の1つである。進出企業として王子製紙、伊藤忠商事、住友商事等、計191社の日系企業が実際に開業している。(申請ベースでは301社)金融危機の影響は受けており、直近半年の調査で外資系企業の状況は売上ベースで昨年比半減となっている。また、日系企業の進出ペースも同半年で4社と激減した。 

5.山本有限公司(日系進出企業)訪問
山口県下関に本社の自動車関連部品メーカーで2007年にオープンした工場。従業員320名、マツダ自動車に納めるワイヤーハーネスを製造している。部品は下関本社から全て入り、青島は組立工場となっている。年間400万~500万トンを生産している。金融危機の影響で昨年10月より大きく落ち込んだ。3月より回復してきており現在は落込む前の状態に戻りつつある。品質レベルを保つために2週間の実務研修及び日本本社からの定期的な技術指導も実施されている。

(山本有限公司工場内写真、右は受付での集合写真)

6.TSS青島工場(区内企業)訪問
大田区東蒲田に本社があるコネクタ自動組立の開発メーカー。上海と青島に進出している。中国国内向けの製品開発に力を入れている。例えば、自動化ラインの装置は中国に進出している日系企業の責任者が購入しやすいように決済権限内の製品を開発しラインアップしている。中国のものづくりの技術水準(要求レベル)は想像以上に上がってきており、品質は日本基準、価格は中国基準という厳しい状況となっている。但し、中国市場では日本企業の製品の傾向としてOver Spec, Over Costと見られる事が多く売れない。製品開発を含め柔軟に対応していかないと中国での商売は難しいと強く実感されている。また、このように厳しい状況に変わってきているが、対応する価値が充分にあるマーケットであるとの事。当協会への要望事項として、法務・労務・財務等のマネージメントの支援があるとよりよく中国進出企業にとってリスクヘッジになるとの事。今後協会からもできる限りの情報をお知らせするようにする。


(TSS青島工場内写真、右は会議室の写真)

7.後書き
世界経済は低迷を続けている中で、中国国家統計局が発表した5月の工業生産は前年比8.9%増で、伸び率は4月(7.3%増)から拡大している。中国政府の内需拡大策の効果などにより、中国の生産活動は回復傾向が明確になってきている。今回訪問した瀋陽・青島の政府機関及び各企業の景況感に関するコメントを纏めると、「中国でも2008年末は景気後退局面であったが、2009年3月頃から内需の復活を実感しており今後も持ち直していくのではないか」といった状況である。
一方、大田区企業の中国進出については、外国企業に対する貿易減税の廃止、法人税や関税の減免等外資優遇政策の転換・縮小や人件費の高額化、日本の技術流出のリスク等を考えると慎重にすべきであると考える。成長する中国市場の開拓は大田区の製造業にとっても魅力的なマーケットであるが、大田区の製造業の業種及び規模等も考慮し、瀋陽市政府との会談でもあったように 1.情報交換、2.日本からの輸出、3.提携と段階を経て進めるべきと捉えている。
また、今後益々中国の市場性が重要になっていく事は周知の事実であるので、当協会としても区内企業に対してより連携を密にし、積極的な支援が必要と感じた。弊職としても、今後より深く中国関連の情報を収集し理解した上で、大田区企業に役立つようなフィードバックが必要であると強く感じた出張であった。

以上

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